知らない夜の道を歩きながら すとり、と 物音がするみたいに考えた。
わたしにできることは、たぶん だれかの話を聞くことと それから、みていることなのか、しれない。 つぶさに、見落としのないように、 かなしいこともうれしいことも そのままに。
アクティブな眩しい大勢の人たち。
その位置に立ったふりをして 呼吸困難だったときも日も。
帽子をとってそらをみたよ ばくぜんとした暗さ、 夏の暑さがそのまんま落ちた 不透明なそら。
ちいさな声でうたうたいながらうちへ帰る。 つまらない架空の死なんてうたってもしかたない 真似だけしても、よけいに、かっこわるいだけだよ。 ……それは少なくとも、もう、わかってる。 いやというほど、わかってる。
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