『 hi da ma ri - ra se n 』


「 シンプルに生き死にしたかった 」


2006年09月20日(水) 夜の子供

窓に
庭木の枝葉が拡大されてぼんやり
淡く、うつっています

一匹だけ凛ときこえる虫のこえ
仲間を
いつまでも呼んでいます

気まぐれな蛙も早起きしすぎたからすも
それなりにそれなりの場所でそれぞれの時をひとあしごと
積む。

大きな夜のピラミッド、その頂点
ねむれるあなたにぼくは尋ねたい
月の大きさを測る方法を
あかるさと闇に触れる方法を
せかいからたちのぼる吐息を食べながらあなたは
どうして、目を閉じているのかを

ぼくがただまなこになる
まっすぐにひかれた寝床のうえで
たくさんの吐息を注がれて
注がれて注がれて肢体はきえた
あとに残るは、ぽっかりと
暗さにむかうまなこ、ふたつ

てんてんと視線はつのり、ざりざりと
砕けかわいた砂の味を今夜も綴る
わずかゆがんだ灰色の傍線。

薄らいだひかりがひむかしより来る
夜はめくりあげられて
また、隅々までが充ちる昼がくるだろう
ぼくの呼吸を塞ぐほどあかるい
唇を綴じ合わせ鼓膜を凌駕し
うけとめきれない生気と終焉の気配にみたされたひるまが

くるだろう



長月二十日、未明〜早朝 ma.i


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