とろとろした眠りでも救いだったので わたしはそのなかにふわふわ浮かんでた 眠るのに、陰と怯えがつきまとうこのごろには ほんとにそれは、救いだったのだと思う。
唐突に、断ち切られてしまうまでは。
急に鮮明な頭で起き上がったら、かぎりなくヒトリだった。 ざぶざぶと降っていた雨まで止まっていて ああおまえは異物だよ歓迎などされていないよと いたるところのものものが ひくく囁きながら背中に置き土産をしていく。
誰がいてもかかわりないヒトリ。
頼るもの、は たしかなものしか、ない。 化学物質として与えられたもの………オクスリ。 ブレーキのきかないところで 感情にあそばれながら ただしく頼るのなんか難しい。
とうぜんの帰結。 翌朝、起き上がるのは困難で 段差があれば転んだし体をねじれば転んだし 頭を傾けたら目がまわるし倒れるし 副作用さんのパレードで、ずるずる一日、 クスリの成分、が外へ出ていくのをぼんやり待つ。ただただ、寝る。
コイビトに怒られた。 どうして怒られるのかあたしにはわからなかった。
どこにもいてはくれないのに 行動さえも見ていないのに あかるいひるまになって乾いてざらざらの砂のような あの拒否のまなざしが無機物の念いが すべてみえなくなったところで。
ばかもの、と言われても。
ざりざりとした砂の嵐の壁の外で ものごとはすすめられているみたいで 期待されるべき反省なんかとは遠いところにわたし、がいて それはまるで昨晩、部屋中からしたたりおちていた言葉の無数を ひとつあまさず摂取したような無感覚で
ひとごとのような距離だった。
電話のコードなんて抜いてしまって 携帯もオフにかえてしまって どこまでもねむりたかった。
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