一年も前に持ち歩けるオンガクをもらって だけどわたしはそれを扱えなくて 仕舞ったままでいた、キカイ。
ひとつきまえ。 同居人がととのえた手順で そのなかに、息が吹き込まれたから かばんの中身が、ひとつ、ふえて
出先で ざわざわと血が引いていくのを 歯を食いしばるよに耐えながら 音をきく… からだの痛みじゃないものに、寄り添うように 耳をかたむける
……そういうことも必要にちがいないよね
ことばを持てなくて、声なくて 怒りのかたまりになって、泣いた 叩きつける腕なんかじゃ喋れないのに それしか、なかった
そんなふうな日のなかにすべりこませる 荒々しくてやさしい音。
はじめて触れた気がして ばかなあたしを思って あのときの、尖りきったあなたを思って 今ならいいのに あいせるかも知れないのに
からだの痛みが燃えている くるくると舞うキノウの幻
切り離して、耳をすませるよ
|