睦月の戯言御伽草子〜雪の一片〜 Copyright (C) 2002-2015 Milk Mutuki. All rights reserved
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あんなに、毎日ふり続けた雪が解け始めた。見覚えのある草花が顔を出し土の香りがする。そんな状態のなかでの、露天はとてもいい感じだ。 「明日からは、露天には入れませんよ。」 「え?なんで?」 「雪解け水が入ってにごってしまうんですよ。」 朝ご飯中に花に言われた。だからって訳ではないが今日はこれで、3回目の露天風呂だ。まだ、冷えているけれど、土の香りの混じった空気を思い切り吸い込みさくらを見上げて見る。 「極楽ってこんな感じかな?」そう独り言が出るほど気持ちがいい。
この春1番目の結婚式に出席できる事になった。ただし、旅籠の手伝いで・・・ 僕は酒宴の準備を手伝う事になった。 「あの、ちょっと・・・・」 「はい?」 広間の奥の部屋から、声がかかった。おかしいなここは、花嫁の控え室だから誰かいるはずなんだけど・・・・? 「どうしました?」 「すいません、外に行きたいので手伝ってください。」 すでに、普段着に着替えたきつねの花嫁がいた。 「花嫁衣裳が散らばっていなければ花嫁だなんて気づかないな・・・。」 「時間がないんです、すぐお願いします。」 「外って酒宴始まりますよ。気分悪くなったんですか?」 「いいんです。とにかく、急ぐんで、お願いします。」 「え・・じゃ、ちょっとまってください。ここのなかに、詳しいものつれてきますから。」 「あなた、ここの人ではないの?」 「はぁ・・・今日だけの手伝いなんで・・・。」 「そう・・・・いそいでね・・・。」ガッカリした様子で座りこんだ。とにかく急いで主人を呼びに行った。
「花嫁が外でたいって言ってるけど?」花嫁の様子を簡単に話すと 「そうですか・・・とりあえず話してみましょう。」主人は奥の部屋に入っていった。
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