睦月の戯言御伽草子〜雪の一片〜 Copyright (C) 2002-2015 Milk Mutuki. All rights reserved
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「私は、野狐だったんです。」 話は始まった。少しずつ、、時間をかけて・・。 花嫁の家は野狐の家系で嫁ぎ先のように神につかえるような家系ではないのだそうだ。ところが、どう間違ったのかこの娘だけ神に仕える資格とも言うべき「力」が生まれつき備わっていたのだそうだ。 「先祖がえりって言うんでしょうか・・?そりゃ、もう大騒ぎだったそうです。野狐だってすこしでも神に近い位置にいたいんです。神になりたいというのではなく神の仕事をお手伝いするって言うのがうれしいのです。」 そこで、親戚一同力を合わせ彼女を神社の巫女にすべくがんばった結果が今回の結婚らしい。 「彼のことがいやなのではないのです。彼の親族の目が、、、、。」と泣き出した。 「聞いてしまったんです。”天気雨も降らせないような野狐を、よめにもらうなんて・・・・”そう、おっしゃっていたんです・・。」
そういえば、今日は天気いいよな・・・・・。
「嫁入りに雨を降らすのは新婦側の仕事なんです。でも、親族一同でしなければいけない・・私一人ではできないんです。もちろん、あたしの親戚に力のあるものもいません。」そういって泣き続けるばかりだった。
「では、こうしましょう。」主人が口を開いた。 「ぼくが、降らせましょう。」この人はなにをいいだすんだ?
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