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■ ミュウー(第一章) 【�掘曄�
(3) ―あれから僕と、ヨッチは、いつもいっしょにいるようになった。
学校ではもちろんの事。家に帰ってからも、いっしょに勉強や宿題をしたり、こもれび公園で遊んだりしているうち、僕達は、いつしか大親友(だいしんゆう)になっていた。
そんな僕達が、子猫の『ミュウー』に出会ったのは、その秋の、とても寒い日の事だった―
いつものようにヨッチと僕は、宿題をすませると、さっそくこもれび公園に、くりだした。カードゲームに夢中だった僕の耳に、遠い所からみょうな鳴き声が聞こえて来た。
「シーッ! ねぇねぇ、なんか聞こえない?」
僕はヨッチに合図をすると、二人で耳をすませた。
どこからか、たしかに、子猫(こねこ)の鳴き声のようなものが聞こえてくるのだ。
僕達は、顔を見合わせると、思わずその鳴き声の行方へと走って行った。
鳴き声は、公園のフェンスの向うにある、雑木林(ぞうきばやし)の中から聞こえて来ているようだ。
雑木林の入り口には、
『危険(キケン)! これより先、立ち入り禁止(きんし)』と書かれた看板(かんばん)が立っている。
「行っちゃえ!」
僕達は、フェンスの外に回ると、看板を無視して、雑木林の奥へと入って行った。
本当の事をいうと、前にも一度、この奥を一人で探検(たんけん)した事があって、それがクラスメイトのつげぐちで、お母さんの耳に入り、ひどくしかられたことがあったんだ。
この奥には、川が流れている。鳴き声はその川の方から聞こえて来る。
川のふちまで来ると、僕達は息を飲んだ。
川のちょうどまん中辺(あた)りで、小さな箱(はこ)が小枝(こえだ)に引っかかって止まっている。
なんと、その箱の中で、小ちゃな子猫がふるえながら鳴いているのだ。
「ど、どうしよう・・・・・・」
僕とヨッチは、オロオロと、顔を見合わせた。
長雨(ながあめ)が降った後なので、水かさが増していて、けっこう流れも速(はや)い。おまけに今日は、かなりの寒さだ。
そうこうしているうちにも、子猫は、小さな身体を乗り出し、今にも川に落ちそうだ。
僕達はなるたけ、長い木の枝(えだ)をさがすと、くつをぬいだ。そして、
『行くか!』
と、かくごをきめて、川へと入っていった。
足を一歩ふみ入れると、頭のてっぺんがキーンと痛くなるほど、水は冷たかった。
僕達はしっかりと、手をつなぎ、少しずつ、少しずつ、箱のほうへと、にじりよった。
「イタタタッ!」
小石や、ビンのかけらが、ようしゃなく足のうらにつきささる。
「だいじょうぶか? がんばれ、がんばれ!」
僕達は、おたがいをはげまし合った。
ふとももの辺りまで川につかり、やっとの思いで枝をのばし、箱を引き寄せる事に成功した僕達は、川から上がると、あまりの寒さに、ふるえあがった。
足の裏(うら)には、二人とも、いくつものすりきずが出来ていた。
それでも僕達は、箱の中の子猫が、とても元気なことに、ホッとためいきをついた。
「見ろよ、ちっちぇーっ!」
ヨッチが歓声(かんせい)をあげる。
「ほんとうだ。かわいいなぁー」
よくよく見ると、真っ黒な体毛(たいもう)におおわれたその赤ちゃん猫は、両手の平にスッポリ乗るほど小さくて、まだ産まれたばかりらしい。
子猫は小さな身体を、こきざみにふるわせながら、不安そうに鳴きじゃくっている。
僕はジャンパーのふところに子猫を入れると、辺りを見回した。
辺りはもう薄暗(うすぐら)くなっていて、夕空には、早々(はやばや)と、三日月が顔をのぞかせていた。
― 次回に続く ―
2002年06月02日(日)
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