今日は起きて飯食って映画に行くと言う単純な1日でした。私には珍しく、封切り2日目の作品を2本見に行きました。感心したのはどんなに今一つの映画だろうと、少なくとも封切り週の土日は幾らか混んでるのだと言う事。その昔「スターシップ・トゥルーパー」を封切りで見に行った時は、ムサイ野郎ばっかで、なおかつ空いていた様な記憶が・・・。因に本日の作品は、「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」とS・キングの原作を映画化してもろヒューマン監督の名を欲しいままにしているフランク・ダラボン監督の最新ヒューマン 『マジェスティック』。ドイツ生まれのサイコスリラー『es』。本当は順番替えて観たかったんだけど時間的に仕方なく「es」を後に観ましたが、物凄く嫌な気分で渋谷から帰ってきました。
『マジェスティック』・imdb::この監督のこれまでの作品同様、夢と希望と現実に打ち勝つ勇気を与え、人間の尊厳とか信頼と信念の‘ヒューマンファンタジー’なのだが、(まあ、これまでも刑務所とかアメリカ南部での黒人差別だとかあったけど)ちょっと強い政治的なメッセージも含まれている。それはつまり、今回はハリウッドのアカ狩りを下敷きにやはり自由と尊厳を描いているのが、ハリウッド映画としてのメッセージ的な意味を喚起させる。パンフを見るとダラボンはこの映画に、50年代(映画)へのオマージュをかなり込めているそうなのだが、古い映画あまり知らないので今一つ解らない。でも、シーンの端々からクラシックな香が漂うのは感じる。特にヒロインのブロンドに青い目がその情緒を盛り上げる。 ストーリーは「失われた記憶がいつ戻るのか?」「祖国の英雄が一転、背信者になった時どうなる?」と言う点でちょっとしたサスペンス。「ここまで持ち上げられた‘希望’が再び失われた時、街の人々は?」みたいな点で一抹の不安を与え、無論ラストで大いなる大逆転を演じて感動なのだが、ラストの大演説の件がちょっと臭過ぎかな。どちらかと言うと前2作の方がファンタジーの出来は上だと思うんで、結局スティーブンキングは凄いって言う事。こういう映画も有り、バカ映画も有り、インディーズも有り、それらがきちんとワールドワイドに稼ぐのがアメリカ映画産業なんだね。本作のまとめは毒にも薬にもならない純粋なハリウッド産ヒューマン・ファンタジー。
『es』・imdb::私は常々“人間の思考と行動を大きく左右するのは、環境と教育”だと思っているんですが、本作はその環境;状況を人為的につくり出す事により、その状況下で人々は如何なる行動をとるかと言った、心理学の実験を扱った映画です。映画と言うもの自体がある状況;シュチュエーションを造り出して進めて行くものなのでネタ的には作りやすいと思います。ただ、状況として‘戦争下’‘絶対的主従関係’等は分かりやすいんだけど見ていて気分のいいものではありません。この作品は特に、厳格で規律正しい反面、ナチを生み出したドイツ人の映画なので人間の本質が剥き出しにされた時が酷くリアルに感じられる。 作りとしては、ずっと実験室の様子だけでは本当に見ている観客も気が変になりそうなので、外界のシーン:主人公が恋に落ちた(人とのつながりを探し求める)女性之話を挿入して息継ぎしたり工夫はしてるんだけど、構成とかキャラクター設定とか見るとアラはいっぱい有る。それでも、題材が圧倒的に勝っていて、実験を中心に極力シンプルに作ってあるので成功している。 ホラーやサスペンスで何が一番コワイって‘人間’!それも‘人の心の中’程恐いものは無い!ゾンビも(人を食うのもそれが人間の根源的な欲求から来るからでもあり)元は同じ人で、人間の形をしていてまるで心が有るかの様に見えるから恐いのね。また、幽霊なんかは人の心だけが残った現象だから恐いのかもしれない。その人間の心の解らない部分を解明しようとする一方、無闇にほじくり壊す可能性が有るのも心理学なんだよね。これって、脳と同じで神の領域なのかね? しかし、わかっちゃいたけど本当に後味の悪い嫌な気分を与える映画なので、気分を盛りかえすためアフターケアを用意しておくように!ビデオで借りる時は必ず(「少林サッカー」の様な)90分位のバカ映画と一緒に借りる事!カップルで見に行く事は極力避けましょう。とは言え、一人で見に行って一人で凹むのも危険です。
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