さて、映画の日の凶行から一日置いて、今日は『かちこみ』と『ラブソングができるまで』を観に行くつもりで揚々と家をでたのだが・・・。連休、それも真夏日に迫ろうと言ういい天気の中、昼から映画館にこもるのもどうだろうと思ったので、予定を切り替えて陽のある間は散歩に切り替える。
そうと決まれば、ずっとターゲットに定めてあった井の頭線“浜田山”の散策へ向かうべく電車に乗り込む。で、電車で座っていたのだが、途中から乗り込んで来て前に立っていた女性のお腹があまりにもふっくらしていたので妊婦なのかどうか判断しかねて席を譲かどうか迷っていた。妊婦じゃなかったら暗に「お腹出てますね(デブ)」って言っているような気がして・・・、でも降りる駅が近づくに連れて多分妊婦なんじゃ無いかと言う確信が強まって来てしまい、でもマジマジと見るのもどうかと。そんなこんなでタイミングを逸した自分がいたたまれなくて予定の駅より前の駅で降りてしまった。
基本的にある程度定期が効く範囲をスタート地点にしているので、一駅や二駅位どうと言うことは無い。ただ、方角は判断付くけど道のりが未知なので、行き止まりや迂回などに捕まり易くて無駄な距離を歩く率が高くなるのだ。それに、通常スタート地点にするある程度栄えている駅の前後の駅は、その煽りを喰って寂れている事が多く面白味が無いのだ。
まあ、今回のスタート地点下高井戸は日大も近く、世田谷線の始発でもあるので結構面白い街で楽しめる。とは言え、何度も来ているのでそれ程時間をかけずに町を離れ、明大前、明大の脇を通って井の頭線沿いに北上、線路を挟んで井の頭通りとは反対側の住宅街をテクテク歩く。
歩くのは全く苦ではない、特に世田谷区や杉並区の住宅街はその家、建築物を観るのも楽しい。また民家ばかりの中にポツンと現れるお店を覗く楽しみもある。そしてこの季節は家々の庭、塀や垣根から顔を覗かせる植物は、春から初夏にかけての新緑と花々で彩り鮮やかだ。ジャスミンやキョウチクトウ(?)なんかが密集して咲いている近くを通ると咽せ返すほど。どちらかと言うとジャスミンの香りは少し涼しげな空気に漂う方が控えめで気持ち良い。赤紫のツツジが公園の石垣から咲きこぼれ、優雅で可憐でドスの利いたバラも季節を迎えている。
わずかに異質な暖かみが残る日差しを見上げると、控えめな雲を配して降り注ぐ空の青みを跳ね返す様に瓦屋根が黒灰色に重く光り輝く。高層マンションも少なく渋みのある木造の日本家屋が多いこの辺りは、空と人と土の境目が適度に共存した景観を保っている。しかし、所々空き地や廃屋が点在し、廃墟マニアを垂涎させる様な家もちらほら。人の住む家でも、大谷石で出来た塀は酸性雨の浸食も激しく色も茶色く黄ばんで、まるで小学校の頃保健室の掲示板に張ってあった“歯磨きしない歯が重度の虫歯にかかっている写真新聞”みたいだ。
このように、目を楽しませてくれる景色は事欠かないのだが、ドライブにはカーステが付き物な訳で、私の散歩にはipodが欠かせない。個人的に、サイクリングや徒歩での移動中にイヤーフォンやヘッドフォンで音楽を効きながら街を歩くのは危険だと思うのだが、さすがに2〜3時間も歩いていると飽きてくる。取り敢えずは音量をニュートラルにしてなるべく外の音も入ってくる様に、一方で景観を眺めつつ周囲の気配と目視で警戒しながら歩く様に心がける。
やっと付いた浜田山、南口の商店街というか商い小道程度の長さしかない通りに入ると、魅力的な飲食店が建ち並ぶ。主に飲み喰いどころなので昼間は休みの所が多く特に連休中は通しで休む店もあるようだ。ピッツェリア【ピッツァ・ピアツァ】も魅力的!渋谷に本店があるらしい欧州直輸入のレースやリボンのお店【Necklace-necklace】もいい雰囲気。通りの奥踏切手前、八百屋の2階にカレー屋(正確にはバングラディッシュ料理)【ショナルバングラ】※1も発見、西永福に2号店があった。
そして何より、最近ハマっているパン屋探索のお目当てでもあるいい感じのお店【ムッシュ・ソレイユ】、パン屋と宗教法人のメッカ西荻に本店があると言う事なのだが、浜田山のお店はうなぎの寝床の様な感じで、売り場は1・2畳程の縦長。名物のキャベツとアンチョビのパンは無かったけど、あまりの香りの良さにバタールを買ってしまった。あと、店員のお姉さんの白いワイシャツユニフォームが眩しかった。(結局そこかい!)
北口は何度かウロウロしたことがあるのでそれ程新しい発見は無かったのだが、井の頭通りに向かう商店街にあったナポリ風のイタリアンレストラン【カプリッチョ】もお値段も手頃で休日の夕食に夫婦で来たりするのに向いた落ち着いた雰囲気の店。で、注目したいのがこの商店街に隣接する集合住宅“ライブタウン浜田山”※1・※2・※3。土地柄もいいうえ、低層で統一された家々は、レンガの色合いと、緑、日差しとか計算された感じでとても住み心地もよさそうで魅力的だった。どうやらこちらの建築は結構有名らしい。
さて帰り際に、北口の駅前通りに珈琲の香りを充満させている張本人【珈琲焙煎工房 函館美鈴】で豆を買って、いつも大繁盛の【丸正精肉店】の前を通り、今度は井の頭通り沿いを明大前に向けてテクテク。途中の永福には、有名な窯焼きピッツァの店【ラ・ピッコラ・ターヴォラ】があったが、店の入り口に芸能人来店の記念写真がベタベタ貼ってあるのはちょっといけてない。私は、その弟子筋とも言える下高井戸の【トニーノ】の方が天井も高くて開放感のある店の雰囲気が好きだ。
まあ、なんとか明大前まで戻った所で電車に乗って渋谷。少し時間があったので【元祖仲屋むげん堂 参番組(渋谷店)】でガラムマサラを買ったら、バックの中が挽きたて珈琲の香りとガラムマサラのスパイシー臭でもの凄い事に!周りの迷惑を無視して、そのままシネマGAGAで『かちこみ』を観てから、木曜日は野郎1000円の日を目当てに『ラブソングが出来るまで』を観てきました。さすがに、野郎1000円とは言え、ゴールデンウィークに唯一封切りの王道ラブコメを一人で観に来ている野郎は僅かでした。
『かちこみ タイガー・ドラゴン・ゲート』 『ラブソングができるまで』・imdb
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