超雑務係まんの日記
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2003年05月07日(水) ヒデ(6)

中学3年生になったヒデ。

受験という道を選択したのは自然だった。
中学生にとって世の中は進学が悲しくも普通の流れ。

私は受験国語を教えるのが大好きだった。
なぜなら一番文学に近い気がしていた。

文学と一口に言っても、意外と種類があって。、
乱暴に分ければ、漢文学、古典文学、明治擬古文学、近世文学、近代文学、現代文学。。。
といったところ。

もっと細かくわけるなら、
お酒を飲みながら私と深夜ずっと付き合わなければならない。
だから、ココではストップ。


一言で「文学」とは何か?
聞きたくても聞けない、イヤ聞きたくもない、日常生活で気にならない話題。

でも、
この疑問には、ずぅ〜っと様々な人たちが思案してきた問題。
加藤周一著『文学とは何か』(角川書店)を読むと、どうだろう。
うん、しかし、こんな評論。
読む人がいるのだろうか。


私にとっては素晴らしい論。響く言葉。
今となっては、誰もいらない書物なのかな。

「だって必要ないじゃん、生きるのに」
なーんて、声がどこからか聞こえます。




話を変えます。

芥川龍之介。誰もが知ってる作家。
『羅生門』『鼻』『蜘蛛の糸』などで教科書で出てきますね。

現代社会で、すごい作家として祭り上げられてしまった芥川。
もちろん遺稿の『歯車』などは表舞台には立たされない。
狂女や目鼻のある歯車が登場するこの作品。

これを読んでわからない場合は、まだ正常だと言うことなんです。

かくして76年前の7/24に自ら命を絶った芥川は35歳でした。


こんな話ばかりしていた、教師。



「先生、僕。将来は文学者になりたいです」
中学3年生が、こんなことを言い出した。


(ちょっとやりすぎたかなぁ)
こんな思いが私の脳裏に走る。


そんな心配をよそに、
中学3年生のヒデは文学者を目指すという。

(続く)


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