超雑務係まんの日記
DiaryINDEX|past|will
中学3年の夏。
受験生にとっては天王山と呼ばれる季節。
エライな、と思ったことがある。 ヒデは受験勉強に対して、何一つ不満を漏らさなかった。
他の生徒は、この時期、多かれ少なかれ先行きの不安や、 初めての経験に不平不満を言い出すものだ。
時には周りに悪影響を及ぼすこともある。
私としては、 別に偏差値の高い学校とか、名門の高校とか、 とくに受験先には、あんまり興味がないという失格な教師だった。
私がこだわっていたのは、受験をして入学するという、その行為。 だから推薦とか、そんなのは好きではなかった。
入学する為に勉強する、 この姿勢を私は大切にして欲しかった。
なぜなら受験という行為が、 一生のうちで、今回が最初で最後の人もいたりするだろうし、 勉強の原点は受験じゃないだろうか、とさえ私は思ってる。
受験は戦争なんかじゃない。
だって、やめたきゃ、いつだって自分の意志でストップできるものだから。
そして何も進学することが、すべてじゃぁない。 でも、進学に興味がなくても、受験は経験してみよう。 大人になってからは、経験したくても出来ないものなんだよ。
なーーんて事を、 生徒たちには、よく言っていた気がする。
私の両親は、中学までしか出ていない。 したがって、父も母も受験は経験していなかった。
私が家を出るまでの間に「勉強しろ」という言葉は、 幸か不幸か本当に一度も言われた経験がない。
だが、私は10代のうちに勉強をしなくちゃダメだと思ってる。
今だからわかる事だけど 勉強の中で、受験勉強が一番簡単。 きっと社会勉強の方が、はるかに難しい。 そして、自己を高めるための勉強は、もっと難しい。
ヒデは文学を志す為に 大学で勉強するから、大学付属の高校を受験したいと言ってきた。
|