2002年08月19日(月) |
大掃除 抱えた荷物は捨ててしまえ。 |
先日、実家にいってきた。私が中学時代を過ごした家。
16才をこえてからは、友達や彼氏の家に転がり込んだり、
家から逃げ出すように沖縄に引っ越したりしたので、
自分の荷物を片づけることもないまま、今に至っていた。
ここ最近、ずっとずっと実家にあるなにかが私を呼ぶ。
それを見つけないと、解決できないなにか。前にすすめないなにか。
私が忘れ去ってしまっているなにかが、私を呼ぶ。
小さい頃の私が、ヒザを抱えて泣いている気がする。
いくら必死で今を生きていても、過去を清算しようとあがいても
ぬいぐるみを抱いて、タオルケットを握りしめて
声も出せずに泣いている私を消し去ることができない。
その頃の私が、兄の部屋の中で泣いている錯覚をずっと起こし続けていた。
昨年末、数日実家に世話になった。
時の停まった家にいることがこれほどつらいと思わなかった。
家はやはり、人をそのままあらわしてしまうものだ。
私が家を出た頃と、ほとんどなにもかわらない実家。
時を忘れた家。
私も兄も帰ることはない家なのに、私たちの物がそのまま置かれたまま。
空虚の部屋。物はあるのに、カラッポの部屋。
眠っていると、とてつもない夢が襲ってきた。
起きていると、さまざまな出来事が思い出された。
耐えきれずに、ふたたび私はその家から逃げ出した。
痛みを真空パックしたその空間は、今も私の胸をかきむしる。
人間は精神の崩壊を防ぐためにあらゆる自衛手段を取る。
私は、その家で暮らしたことの記憶が実はほとんどない。
それが、私が生きるために必要だったのだろう。
あの家をそのままにしておくことはできない。
自分の荷物を全部捨て、過去の汚濁も、ゴミと一緒に捨ててしまおう。
一大決心をして実家にいった。
汗だくになりながら自分の部屋を片づけ、兄の部屋に取り掛かった。
今では物置になってしまっている兄の部屋。
家族のわけのわからない荷物が山積みのゴミ溜の部屋で、
マンガや服やカセットテープやなんだかんだと格闘すること数時間。
奥の奥からうすぎたないパンダのぬいぐるみが出てきた。
ああ、この子だ。私をずっと呼んでいたのは。
どうしてこの子がお兄ちゃんの部屋にいるんだろう。
この子のことを、私はずっとずっと忘れていた。
あの頃、あんなにいつも一緒にいたのに。
私の話しをきいてくれたのは、この子だけだったのに。
私が失った記憶をこのパンダは覚えているだろう。
この子が聞いて拭ってくれた涙と想いを取り戻すために
この子と向かい合わなくてはならない。
そう思って、そのパンダを連れて帰ってきた。
「おかえり。」
姉の家に着くと、義母が迎えてくれた。
実家の掃除に行くというと
「連れていったら大変でしょ」と息子を見ててくれた。
血のつながりなんてないのに。
この人は当たり前の、それでも私がこころから欲している言葉を、
きちんとした想いとともに与えてくれる。
いっぱい問題を起こしてきたオヤジだけれど、この人を選んだこと
この人に選んでもらえたこと、そのことについては、ほんとに感謝。
私と姉をこの世に誕生させてくれたことのその次に感謝するくらいの偉大さ。
私は、今、ほんとうに幸せだよ。
日々を、打ちのめされることなく、生きれることが幸せ。
問題は抱えていても、それに目をつぶらず、目をそらさず、
解決していこうと、前に向かっていこうと思えることが幸せ。
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