あきれるほど遠くに
心なんか言葉にならなくていい。

2002年06月26日(水) うたえぬひと



不意に、
電車の中、
声もなくうつむいて、
深く息をするうちに涙が滲んだりする。

僕は何故ここにいるんだ、と。
思ったりする。

ここに僕の望むものはない。
ここは僕の望む場所ではない。
それなら何故、と。
不意に思考がそっちへ向かってしまったりする。

何かを間違えて、僕はここにいるのかもしれないが、
望むと望まざるとに関わらず、
生きているうちは生かし続けられることに僕は慣れてしまっているのだから、
どんなに、馬鹿げた生であっても、
僕は自らそれを絶ったりはしないと誓ったのだから、
だから。


ほろほろと、
涙をこぼす歳はもう過ぎてしまっているから、
人前でも人前でなくても、
僕は泣いたりはしない。
ただ時折、箍が外れたように感じることがある。

この恋は、
言葉にすればあまりに陳腐だから、僕は詩以外の何ものにも表しはしない。
それで何故、
心が眠らぬのか、
この想いが死なぬのか、
他の感情は次第に順調に冷えていくのに、
初めに凍らせようとしたそれが何故息を止めようとしないのか。
もうこんなにも、
他の何ものも、
僕には何の意味もなくなってしまっているのに。


心を言葉にしようとすると、背が痛む。喉が痛む。肺が痛む。
僕には詩がない。
もう、ない。




↑それでもこの身体は息を止めずにいる。
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周防 真 [MAIL] [HOMEPAGE]

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