あきれるほど遠くに
心なんか言葉にならなくていい。

2002年09月01日(日) 香水



 あのひとの香水を買ってみる。
 めちゃめちゃ恥ずかしいけどあのひとを思い出す。
 不意に指先を口元に持ってたりなんかするともぅ、・・・ダメです犯罪です(何が
 てゆーかここまであのひとに懐いてる僕って何。あのひとの香りがしただけでくらくらする僕って何。
 「絶対、どうかしてますね!」ってあのひとは言うと思うけど。事実だし。事実以外のなにものでもないし。

 もちろん香水、僕はつけたりしません。
 当り前です。一日中くらくらしてる訳にはいかヌ。
 でも僕の部屋の机の上には置いておくので、・・・ちょっと孤独が癒されます。もちろん蓋は閉めてるけど。
 嗅覚、って何だか動物的だなぁ。昔何かで読んだけど、ものの匂いと云うのは、そのものの微細な部分が鼻の粘膜に触れているのだとか。だから、つまり匂いがするというのはそのモノがそこに在るわけで。
 ・・・ってなんか変な文章だけれども、僕が言いたいのはそのまんまの事。
 だから香りであのひとを思い出す、と云うのはあながち間違いではない、と。
 ・・・すいません出直してきます。(照

 で、香りだけでふわふわとシアワセな僕。
 たぶん傍から見れば、ぶん殴ってそこらへんの側溝に叩き込みたいくらいほわほわとしている。ほえほえ。(馬鹿
 愛情、こぼれんばかりに傾いているので、我ながらちょっとあぶない感じではある。雑踏の中でもあのひとの香りがすると振り返ってしまうくらい。そう、まるで呼ばれた犬のように。ダメじゃん。
 でもたぶん、あのひとのほうは僕の香りとか覚えてないよな、ってゆーか僕は使う香水、気分で変えるから誰も覚えられないよな、とか考えて、少し頭抱えてみたり。
 これから統一しようかな。でも体調で香りって変わるよな。微妙。
 ・・・ということはあのひとの香りだって変わってる可能性もあるな。うん。実際、僕もあのひとが香水買うのに付いてっただけだし。
 なんか、たったあれだけの短時間であの香りを覚えてしまってる僕って何。
 何。すり込み? インプリンティング?
 もう何でもいいや、という気がしないでもない。
 うん。
 てゆーか僕は詩人なので、僕の感性が動く方向にあるモノについては感覚を研ぎ澄ましてるし。・・・ってそれは何か理由になるのか(爆

 詩人として言えば、香水ってある種の想像力をかきたてられる対象ではあるのだ。
 例えば女物の香水をつけている男。それだけでぐっと集中力がそっちに向かってしまったりして。で、よく観察すると、髪長めで黒のロングコート、茶髪メッシュでカシミヤっぽいマフラー、ダークスーツに革靴は履いてるけど全体的に妙にくたびれた雰囲気、となればまぁホストかな、と。まず男が、むせるくらいに香水つけてるのはどうかとは思うな。
 そして僕は思うわけだ。あえて女物の香水をつけているんなら、どういう成りゆきでそれをつけてるのか。例えば金持ちのマダームに、「もうあたしの香り以外つけちゃダメよ」とか言われて吹きかけられたのかな、とか。それともマヌケな話だと、そのコートの上で彼女が香水のビンを割ってしまったのかな、とか。シリアス系で行くと、死んだ恋人の喪に服するために四十九日までは彼女の香水をつけてる、とか。
 ・・・何だか全部なさそうでありそうな話ではあるな。
 それはともかく、美人が雰囲気に合った香水をつけてるのは凄く色気を感じる。僕の周りにはまだ、きちんとそういうこだわりを持ってる人あんまりいないけど。
 美人が漂わせていれば、煙草の匂いだってある種のインスピレーションを詩人に与える。僕は煙草キライだけども。でも恋人がタバコ吸ってると、・・・妙な気分になるのは確か。あぁその煙草に僕はなりたい。違うって(爆死

 あのひとの香水が香ると、一瞬息が止まりそうになる。
 ベッドの中でまどろむうちにあのひとの香水の匂いがすると、もう目覚めなくてもいいような、そんな気がしてくる。あのひとが此処にいるような、この腕の中にいるような、そんな。不思議な安堵。
 身を埋めた枕やクッションや布団の、やわらかな感触に身を委ねて、あのひとが此処にいないという現実を忘れそうになる一瞬。
 もちろん、現実にあのひとがいればいい。嗅覚だけより五感が満たされた方がいい。
 でも少しずつ、眠るだけなら、僕を疼かせるあのひとの感触が無くても良い。安らぐだけなら、それだけで。
 おかげでもう眠れない夜なんて無い。・・・はず。(笑




↑真理です。(笑
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