そうだわかりきったことだけども敢えて言うなら僕は馬鹿だ。 いつも、手を一瞬出しかけて引っ込める、そのタイミングが他よりも少し早いか遅いかするので、その所作が異様に目立ってしまってしくじるのだ。 あぁそうだ僕は馬鹿だ! 今は頭の中で百回ほどそれをエコーさせつつ大合唱されているけれども。 いいんだ。 ほんとのことだし。 いいんだ。
あのひとのに似た香水をつけて、なんとなく鬱な午後遅く。 おかしな話。 あのひとはいない。 ここにも、世のどこにも。 そうだったらどんなにいいだろう。 僕が今まで見ていたのが夢だったんだとしたら。どんなにいいか。 ある朝僕は目を覚まして、何かしら失ったあとのさみしさに、切られるようにいたんで。細部を忘れた夢の、存在感の強さにうろたえるのだ。 それくらいでいい。 この恋は、僕のものでもあのひとのものでもないのだから、失ってしまえば眠れぬ夜の不条理さと同じくらいに苦しいものにしかならない。 それくらいで、 いい。
あのひとがいなくていやだと、 おもうこのこころを、 にぎりつぶしてしまいたい。
It's not too high till you reach the sky Just heave my sigh and I would never cry
↑こゆのを作るのが、最近の楽しみ。
そうしてかなしみは、 いつだってそれ自体あきらかではないのだ。
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