あきれるほど遠くに
心なんか言葉にならなくていい。

2002年10月19日(土) 本にまみれて。



しあわせな本をぼろぼろ泣きながら読んでいた。
べつに悲しい訳ではない。
ただしあわせがいとおしいだけで。

よしもとばなな、という作家はいつも僕を落ち着かせる。
このひとの書く恋愛の形はいつも幸福そうであたたかい。なにより、健康的だ。
何と云えばいいのか、上品な和三盆の砂糖菓子を思わせる甘さ。
書いてあるものは常人の感覚を越えたものだったり、悲しみだったり、色々だけど。

泣きながら読む本、というのはそんなに多くない。べつに少ない訳でもないけど。
ベッドに寝転がって布団にもたれながら読んでいたら、目の端からつるつると水分が布団に吸い込まれていきました。何故か左目からだけ(笑)
だからぼろぼろ泣いた、というのは嘘かも。
うん。
なんだか幸せを吸っていた気分。

そのあとに、また別の好きな作家さんの本を読んでいる。
あのひとの唇のように官能的な文章を。
今日は読書日になりそうな予感。

うちの家の本棚には、あまり僕の愛読書って置いていない。
表面には色々別な本があって、裏側に隠されていたり、自分の机の近くにこっそり貯めていたりで、部屋に作り付けのでかい本棚には、固そうな本しかない。辞書とか参考書とか学術書とか、田中芳樹とか村上春樹とか。
でもその、地震が起きたら下で寝ている人間は圧死しそうな本棚が、少しずつ自分の好みで染められていくのが、大学生になった当初はちょっと面白かった。




↑明日なんて来ない、と呟いてみる。
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かわいた唇を寄せて、
あのひとの血が唇からこの身体にめぐるように、
目を閉じた暗闇にあのひとのぬくもりが眠るように、
詩人は詩人としての言葉を忘れてしまいたい。



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周防 真 [MAIL] [HOMEPAGE]

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