2003年08月19日(火) |
別に、殴ってもいいよと僕は言ったのでした |
悪いけどそこをどいてください、僕は もう行かねばなりません。
あ、殴られる。
そう感じると自然に身がすくむものだということを知った時がある。 喧嘩の時や殴り合いの時ならまだ、すくみ上がったりはしないのだけど。 だけど純粋に、怒りや憎しみから傷付けようとして殴られる、というのは何か違った感がある。 とても。怖い。 僕に臆病な面は確かにあるけど。 でもまたそれとも違って、ヒトに憎まれる、という状態は他人の悪意を突きつけられるようでひしひしと痛い。 いや、僕にしてみれば当然の報いなのかもしれないけど。
僕は感情が行動に転化されるのが少しばかり遅い。 衝動は常に抑え込まれるべき、と思ってしまうから。 何度も頭の中でシミュレイトする。 腕を振り上げて、叩きつける瞬間。 拳の外側で、ヒトの肉が弾力に満ちながら歪む感触。骨に当たる痛み。 それは僕の腕であって僕の腕でない、ちから、のようなもので。 フィクションのはずの映像が僕の腕に残す余波。 余韻。 時々それがただの想像物かそうでないのかを判断しきれなくて茫然とする。 感覚、なんて、あやふやなもの。 記憶も、感情も、制御できて初めて人間ではないかと。
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