あぁ、もう寝ないといけない。
月、が。 ここ数日とても綺麗だ。
はやくあめが降ればいいのに、と。 僕はそう思ってしまう。 月はあの不躾な光で僕を追いつめてしまうので。 いつの間にかあの光に耐えられなくなった弱い目を、かばいながら僕はとぼとぼと歩いて帰る。 安らかに日々は過ぎる。 痛むものは自分の中の焦燥だけなのに、何を暴かれそうで僕は月を拒むのだろう。 緑色のまま枯れはじめたモミジを見上げながら、そろそろ冬だ、と僕は思う。 冬はそもそも厳しいので僕は得てして楽だ。 眼球が寒さに痛んでも、ただそれだけ。 冷たく凍るこの指先は好きだ。 ふゆは、つとめて。 それでも夜を覆う雨を僕は待ち焦がれる。 それは狂気だ。 忍びやかに僕を冒すもの。 背後から僕を抱きしめる、 指先が、 冷たさにいくら痛んでも、 傘なんか取り落としてもその中でじっと佇んでいたいと思うのです
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