あなたがいま やめてくれといったら やめてしまえそうなのに
朝は温室のようなカフェで陽だまりに座っている。 ほこほこと暖かい。 本を、1冊読み終わって顔を上げると薄く雲が広がっている。 しあわせははかない、と思いながら階下へ降りていく。
12がつ12にち、 ぞろめだ、 と考えながら新京極を下っていく。 探しモノはなかなか見つからなくて、僕もあんまり元気ではないのであまり速く歩けないでいる。 指のさかむけが気になってひどく痛む。
映画館から出るといつのまにか雨になっている。 ちょうどよかった、って気になるのはなんでだろう。 映画を観た後の、たとえようもなく空虚な内側に、雨の息吹は容易く流れ込んで僕を冷却する。 心は変形しない。 だけど、
だけど。
そして僕は
あのひとと同じ名前のひとを見つける。
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