明日の自分を知らないので、
僕はまだ無垢だとおもう。
ひどくこごえるよるは、
目を上げず何ひとつ見つめないでうつむいて、いる。
このまま眠ってしまって、
できるなら何の夢も見ないで、
きぼう。という題名のちいさなちいさなおるごーるの曲を
くりかえし耳の中で鳴らしている。
つめたいベッドにもぐりこむんじゃなくて、このまま、
机にむかってひざ掛けとオーバーでくるまれたまま眠って、しまいたい、
なんてすこしだけ、
すこしだけ自分に駄々をこねてみたりする。
けれど頬を下ろした机の表面の冷たさに突き放されている。
このところ、ひとに会うのがみんな夜中なので
僕はいつも同じ夜に生きているような気がする。
あの夜も、あの夜も、すべてつながってひとつの影灯篭みたく僕だけに映し出されたまぼろしなんじゃないか、なんて
このところの明けきらない朝しか知らない僕は思う。
おもうのは、
あのひとにあいしていますと言うそのときだけ生きているのならいいのに、とかぼそく。
かぼそく、息をしながら夜を締め出そうとしてみる。
だけどそんなことで僕が無垢ではないとは言わない
言わせやしない。
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