2005年05月01日(日) |
あなたの手もとの一枚の葉書であなたの実存を証明してみせてください |
そうは言っても まず八割がた 連絡はないのを悟っている。 だって遠いし。 たぶん孤独ではないし。 そして僕も もはやあのひとの救いではないので(たぶん) 連絡がないことを許容する。 それから残りの二割で 燠火のように希望を伏せてみたりする。 手には氷まじりの冷水がある
あなたの手もとの一枚の葉書であなたの実存を証明してみせてください 僕は そう言うはずだった午後のことを思い出す。 それでも 探し続けるその葉書の一枚は僕の手もとのどこにもなくて ついに泣きそうになってしまって僕は 探す手を止めてあのひとの手紙をひらく その文字は急いだ走り書きのように細く薄い
言葉で『愛してる』と言ってほしかったひとが結局最後までそんな言葉を吐くことができなかったことを 僕は未だに覚えていて少しだけ 少しだけ そのひとを憎むことすらできなかった自分をわらう そして その潔癖さに救われた自分をかなしむ
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