ひとと別れてから 僕は本日2回目の観覧車にのぼり ひとり青々とした空に招かれながら 西日の射す大阪平野を見る
バランスはこうやってとるものだ、と 教えられもせぬのに 僕は何故わかってしまうのだろうと 窓枠にもたれて目を閉じる あたたかなひかり
観覧車は赤 急にぐらりと揺れて止まる ゴンドラは大きくゆっくりと振り子のように揺れ 宙吊りにされた小宇宙は 束の間 大気の中に静止する 不意に重力が気にかかる
地球の引力に 大気の平和 嘘の蒼ざめた調和と 僕の中に限定されたはずの困惑 静止した小宇宙は 引き剥がされたはずの引力に 恐らく無意識に 媚びている
がくん と 再び揺れて 観覧車は廻り始める 静止してようやく自転する 愚かな宇宙を抱えたまま 僕は西日の中の地上へ 廻り続ける観覧車を 少し僕に似ていると 自嘲する
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