郵便が届いている、という知らせに
家を出て坂を下り 橋を渡って郵便局へ歩く
雨の後 すっかり日も落ちた濡れたアスファルトから ゆるやかに立ちのぼる霧の海
時折 ぱら ぱらと 小雨の名残 ぶるりと肌を粟立てて 雨は 嫌いだ と 夜の雨は嫌いだ と 息を止めている
手紙 は 思っていたよりも随分と分厚く それを小脇に抱えて 人通りも稀な 夜道を 歩いてゆく 息を忍ばせて 空が 落ちてこないように あわあわとした夜を わたってゆく
小さな包みは 表書きの文字それだけで あたたかく せめてわたしを指し示す ここに 夜が いよよ鮮やかに ひらかれる
|