あきれるほど遠くに
心なんか言葉にならなくていい。

2006年03月22日(水) すなあらし





仰ぎ見るとそこには
しんしんと冷たく雪が舞っていて
少しずつ消されてゆく自分の前に
あのひとが立っていたことも もう
見えなくなってゆくのでした





かえりみちという言葉はどこかせつない
それは
僕が排除された残りものでできているせいだ
帰ってゆくあのひとに僕はいない
僕はあのひとの
消しゴムで消された薄い筆圧の線にすぎない


いないここにいないそこにいない
だから
どこにもいない 世界は
あのひとを境界線にして終わっていて
そこから先の茫漠に
僕は一瞬で飲み込まれている
混沌は ここで
僕を喰らう




乱される
一心に 降りつづく雪が
かき消されるように僕を包み
視界は白に閉ざされる
やがて
うつむいた 視野のどこかに映っていたあのひとの靴先ももう
どこかへ去っていって
今や
白く煙っていたこの 息ですら

僕を 崩していきます













嘘つきだ、って、
もう誰も言わない


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周防 真 [MAIL] [HOMEPAGE]

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