あきれるほど遠くに
心なんか言葉にならなくていい。

2006年06月26日(月) Dome






狭い風呂の中で何故だか溺れようとしている。
たいへん無理のある姿勢なのでたぶん、実際に溺れたら助からないと思う。
息が苦しくなって、頭がぼうっとしてきて、
しばらくして我に返って目を開けたら夢から醒めたみたいに見えた。世界は、明るい。

最近何故だか長風呂だ。
万年貧血気味なので、風呂から上がるとふらふらしている。
だけど瞑想するにはいい場所だ。
顔を半分ほど湯の中に埋めながら、昔のことを考える。
こうしていると、昔、父親が話してくれたことを思い出す。
たぶん僕がまだ小学校低学年か幼稚園児の頃。
狭い小さな風呂で溺れ死んだ人の話。
(思い出すなよ、という以前に小さな子供にそんなこと話すなよ、と言いたい)
そうして瞑想のあいだ、
僕の脳裡に薄くそのひとのことが漂っている。
無論ただの空想だけど、
そんな狭い風呂の中で溺れ死ぬためには、
あぁすっぽり嵌まっちゃったんだな、
たぶん横向きでだな、
水を飲んじゃったんだな、
きっと、
きっと、
たぶん、

息が、だんだん苦しくなってきて、
喉元の頚動脈を探るとびくびくと速く脈打っている。
薄く、目を開けると、
やわらかな白熱灯のおぼろげな世界がそこに待っていて、
水面近くから見上げると、この小さな世界はまるで聖堂のように厳かで。









↑もう一度目をとじてしまう

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