明日の君を見る前に 少し 話をしておこう
空はかすれた灰色で 画用紙の上方に濁った それが今も 凍りついたままに僕を繋いでいる
君の声はもう 真昼を僕に運ぶことはなくて 崩れていくファンタジア 目を射す陽光が耳に焼き付けた蝉の音は 甦るたび影の色にほどけた 眩暈、 揺らめくたましいのように 足を縫い止めきつく絡む夏の陽をまだ 君の声とともに憶えている
緑は濃く匂って君の息を止める その気配に僕が立ち止まるあの木陰の坂道 手のひらを 突いて 離れて かきよせる肩と肌と 死にたげな欲望 ここに、 いない 無意識は絶望に等しい
雨、 濡れた髪のにおい ふるえる指先 喉の渇き掠れる声、 情熱 言葉にして想う前の駆け上るだけの恋 悔恨 触れる、 祈ることすら知らない幼い希望
明日君は夢に僕を見るだろう、 くぐもる遥かな雑踏の中。 見交わすことも なく この目は伏せられたまま君を知るだろう、 その羞恥と後悔の気配に。 灰色に塗られた空、 取り戻せない青の無垢と苛立ちの狭間で 勝手に塗り上げられたその濁りに絶望する瞳を 憐れまぬよう 蔑まぬよう ここに、 今も
希望を、刻まない なら それでもよかったのに、と わらう
アイシテイマス
|