いとしい、ひとの声を聴く。
耳元で、はかなく散っていくその声。 心はそれに囚われていても、やるせなさに縛られて応える声がかすれる。
くずれない恋。 もう名前も呼べない。
はら、はらと 止めようもなく涙があおむけになった目尻からいくつも耳元へ落ちて、散っていったあのひとの声に溶ける。
空には虹。 きっと心を震わすほど美しい。 このまま、目を開いて真っ正直にそれを見上げてしまえば自分が壊れてしまうような気がして視線を上げられない。 ただ涙がとめどなく、 とめどなく、
リミッターを少しだけ水位が越えたのかと思うような穏やかさで、
このままここで、 こわれてしまっても、 それでも、 いいと 思うのに。
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