2006年08月28日(月) |
安易な選択、或いは放棄 |
酷く甘い酒を飲んで、みっともなく赤く染まった肌で電車に乗った。 ぐらぐらと揺れるのはたぶん、酒とちっとも旨くなかった煙草と、独りになったとたんに襲ってくる暗い感情のせいだ。
電車に、乗る。 夏の盛りより早々と暗くなった外には同じように走る列車の灯りが川面に映って揺れていて、遠すぎるその灯りに不覚にも泣きたくなる。 これは 慣れない味の酒のせいだと言い訳をして、 少しずつ醒めていく酔いにすがるように目を瞑ってみる。 吐いた息は、今まで深呼吸をしていなかったみたいに蒼褪めていて喉元に苦しく滞るので、火照った肌に冷えた表面のペットボトルを押し当てて息をする、短く、何度も。 目を開けると窓ガラスに充血した目の自分が映っていて、 再び目を閉じる、 鼻梁に涙が、落ちたのを感じる。 人が少なくてよかったと思う。
もう名も呼べない、
ほんのすこしの過ちを赦せなかった自分を嗤うように、 もう誰の目にも見せない もはや苦々しいほどの痛みをすがるようにこらえる表情を浮かべてみる。
そして酒や煙草や他の何をもってしても 消すことのできなかった熾火を赦す それをせめて 弱めることのできるのは涙だけだとわかっていて もう涙も忘れるつもりでいる自分の強情さに
今 ここで
世界が壊れてしまわないかと子供のように願う
ここにはもう、 なにも僕の得るものはないのに
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