あきれるほど遠くに
心なんか言葉にならなくていい。

2006年09月29日(金) 淡いほどとおく





これから少し遠くへ行くのだけど。


置き手紙のようだと思う。
少し遺書に似ているとも思う。
だけどこれを読んで痛む人も笑う人も、もう僕には心当たりがないので、別にどうでもいいと思う。
遠くに行く日はどこか気持ちが透明に淡い。
それは目的があるせいだ、と思う。
永遠でさえ、果て近くにあるものが目的なら、たぶん永いとは思わない。
目的や約束で命をつなぐ。明日を、せめて時間をつなぐ。
そういうために生まれたのではない。
そういうために生きてきたのではないけれど。



帰ってくるのがいやだな、と思う。
行くのはこんなに軽い気持ちなのに。
それでも戻ってくるしかないんだろうな、と思う。
少なくともここには僕の存在理由があるから。
存在価値があるから。
でもそれだけではいやだな、と思う。
いやだなぁと、こどものように。



このところ巧く眠れなくてずいぶん眠い。
眠いのに眠れない。
思い出とか夢に逃げ込みたくないのかもしれない。
だけどどこか霧の中のような、淡い場所で、僕はいつも、

  あぁ、ここはあの場所だ、

と思っているのだ。
そこは郷愁と束縛を強く感じさせて、僕は逃げ出したくてたまらないのにただずっとそこに立っている。
淋しくはない。
何か淡い期待がある。
その期待はどこか歪んで悦びに通じていて、僕はそれが怖くてたまらない。
ただそこはとても、淡い場所だ。





さて、これから荷造りをして、夜も明けぬうちに発つらしい。
たぶん眠る時間はあるのだ。
ここでも、たぶんここを発ったあとでも。


  ただどうしてここがこんなに淋しくて淡いのかわからない












↑たぶんそれが僕の、ささやかな憎しみだ

My追加




華やかな、華やかなはずの香り。





 < 過去  INDEX  未来 >


周防 真 [MAIL] [HOMEPAGE]

My追加