不意にアナタの名を呼んだ僕を赦してください。
呼びかける名なんかもう忘れたと思っていた。 その名を呼ばなくなってもうどのくらい経つというのだろう。 愛情、とかじゃなくて なんて嘯いてしまう僕を半分蔑むように見つめた、アナタを憎んでいないと言えば嘘になるので。
たぶんそばにいてほしかった。
それくらいの不確実さを内包する気持ち。 現実感の薄い手のひらの感触。
あたたかさはなんだか奇跡のようだった。 だから、なのか、
アナタが笑うとどこか幸せな感触がした
アナタの名を呼ぶ機会があるなんて考えてもみなかった。 それがまず致命的なロス。
アナタは幼子イエスみたいに、死んでようやく人の心に残るのだと思っていた。
そんな不遜な、脱力感みたいな排除。
愛して、いるとかいないとか、 アナタは僕を欲していないのに(たとえ欲していてもそれを絶対に口にはしないのに) そんなくだらないことに拘らないでほしいと笑った。
世界は暗く、シェルタは狭く小さい。
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