よる
ばらばらと雨が降ってきて さやさやと木々を揺らす 穏やかな それはもう冬の雨ではなくて 僕はとりあえず傘をたたんで くるくると回しながらぬばたまの夜のアスファルトの上を 踊るように空を仰いで帰ってゆく
時折 ざ ざ と 強くなる雨風とともに からっぽの心がふらふら揺らぐので 真っ暗な坂道の上をよろめきながら 黒一色の僕が白い傘片手にのぼってゆく
雨粒を見上げてシリウスを探す 僕の足元を しらじらと街灯が濡らしている 濃い雨の匂い 無くなってしまえば楽なものがたくさんたくさんあるのを僕は知っている
**
もう冬じゃないねぇ。 なんだか惜しい。もう少しぎりぎりと食い入るような寒さを体感したかった。 分厚いオーバーもロングコートも活躍の場がないよ。 まったく。 しかし油断するとまたぶり返しそうで怖い。 朝寒いのに気付かずに出掛けて、帰り道が凍りつきそうに寒い、ってのが一番イヤだ。
さてさて頑張れ僕。 明日はまだまだ遠いぞ。
そうすれば浮気してもバレないじゃないか。
ただそれが浮気でしかないのが切ないというだけのお話。
|