あきれるほど遠くに
心なんか言葉にならなくていい。

2007年06月18日(月) ここにはまだ春が






雨の日の髪は濡れた柳の葉のようで好きだ、と言うと驚かれた。

どうやら女の子の髪は違うらしい。雨の日にはぶわーっと広がったりくしゃくしゃになったりするものらしい。
面白い。

雨の日の髪はどこかふっくらとしていて眠たげだ。
手を入れてかき回しながらぼんやりとする。


 *


何故か昨日から右手小指の爪が痛む。
僕の爪はあまり強くないので、どこかでぶつけたかも、と今日はテーピングしてみた。
微妙な痛みは治まらない。

もしかすると、と。
考えてみる。
あのひとが何か痛んでいるのかしら、と。

それは甘すぎる妄想だ。
ひとの痛みがここにあるなら、そう思うだけで何かがふっくりと満たされる。
小指の爪を噛みしめる。
痛みはその想念だけで甘く変わる。

もう僕は長い間、そんな痛みが欲しいと思っていた。


あたたかさや痛みや苦しみや希望や、微笑みのようなもの。
雨が大地に染み込むような想い。




そんなものがここにあればいいと思っていた









↑目を閉じてみる。

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 *


雨は昼過ぎには上がった。
けぶる霧のような雨が僕は大層お気に召したというのに。

夜、目を閉じていると雨の音がさやさやと響く。
6月だというのに、夜はこんなにも明るくて星を思わせる。
夏がどこにあるのかすらわからなくて僕は途方に暮れる。

ひとをなくしてから、僕には季節すらあやふやだ。





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周防 真 [MAIL] [HOMEPAGE]

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