その日この秋初めての温かな烏龍茶を買った
友人の詩人を見に行ったかえりみち どこまで行くのかな、と 車の赤いテールランプを見送り 思いの外にぎやかな深夜のコンビニへ入って 新発売のお菓子の前で 人が言った言葉を耳元に思い返す と しまった追いつかれてしまう と 足を速めてコンビニから出てきたところで ひとが触れた指先がふるえていることに 気付く
ことばは
ひつようではありません
そう言った詩人は穏やかに強い笑みで 言葉が此処にあると泣いたひとを否定してみせた 僕は黙ってそれを見ていた ひとがうちのめされるのを 僕はそれを見ていた
ひとのことばが 背後から影のように追ってくるのを 恐れて 暗い道をひたひたと歩く 空は あの幼い日に見た満天の星 絶え入るような痛みの中に降り注ぐひかり
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