くっきりと晴れた日。 夕立がありそうだ、と根拠もなく思う。 青空と白い雲のコントラストが眩しくて、熱いのにてくてく出かけてしまう。
もういないひとへの手紙を託されて途方に暮れる、結局僕は何処へも行けないのだとわかってしまって途方に暮れる。
行き暮れて道遠く、何処まで行っても辺りは他人の住処と生活の在り処。 何かを探している。 目印になるものを求めてさまよう視線。 右へゆき左へゆき北へ東へ西へ、小さく入り組んだ道を歩きながらあぁこれは一月ほど前に辿った道だと思う。(いやしかしそれは間違いなんだが)
ここにいないことを赦されたひとを想う。 復活を予言された聖者みたいに。 或いは昔むかしの八百万の神さまみたいに。 どこかにいるはずだ、と思う。 そしてどこにもいないんだ。もう愛されていないから。 そんなふうに考えて、 思考をそこで打ち切る。 神さまは神さまで人間じゃない。 ここにいる誰かではない。 きっとこんなふうに、もう愛していない人間が想うひとではない。
何処へでも、行けるって、 まだ僕は思っている。 ひとのいる遠い所へは行けなくても、まだ行けなくても、 せめてもう少し遠くへ逃げてはいけるって。
この心をさえぎるひとがいないところ、この想いがすべて向かうひとを残して遠くへ。 まだ行ける。 そう信じる。
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