刑法奇行
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外国に行くと、常識と考えていたことが覆される経験は多々ある。やはり中国では、とくにそれが多かった。先日、山東省でのバス事故のニュースを聞いて、ドキッとした。とにかく、道路交通はきわめて危険な状態である。反対車線も走行する場合もあるし、3車線に分かれていても、まるで魚が泳ぐみたいに、走行しているのである。クラクションをぶーぶー鳴らし、先を急ぐわけである。したがって、歩行者が横断することは至難の業である。たけしの言ったように、みんなで渡るしかない。
それから、電話である。武漢大の宿泊施設では、国際電話をかけるためには、フロントで100元を保証金として支払い、すると、いつのまにか部屋の電話が取り替えられていて、日本にかけることができるようになっている。そして、かけた分だけ100元から引かれていくわけである。チェックアウトの際に、残金が返還されるのである。O泉さんは、かけている途中で、100元に達し、プツっと切れたのである。S久間さんは、100元払ったのに、とうとう日本にはかからないまま終わり、100元返還されると思ったら、かけたというそれ自体で引かれていたから不思議である。やはり行為無価値というわけか・・・。
トイレットペーパーのロールの量が少ないことも驚いた。毎朝、3本ほど請求していたのである。朝食は、中国粥などさわやかな感じであったが、ドリンクものがないのである。お茶も請求してはじめて出たが、朝食はやはり、ドイツのように「Kaffee oder Tee?」、あるいは、イタリアのように「エスプレッソかカプチーノか?」と聞いて欲しいものである。それを言ったら、N田さんが、「じゃあ、ボクが言ってやるよ」というわけである。コーヒーを飲む習慣がないようである。これに対して、タバコは多種多様の銘柄がある。しかし、タバコとコーヒーは、必要的共犯だと思うのだが・・・。
こういう文化的葛藤は、後から思えば、楽しい想い出になる。島国の日本でチマチマ生きているだけでは分からないことを体験することが重要であろう。 しかし、成田に到着した時、このまま、ドイツに行きたい気分になったのはなぜだろうか。また、えぞ菊のラーメンを確実に食べるぞと決意したのはなぜだろうか。さらに、フレンドのカレースパゲッティ、高田牧舎のカキフライ、叙々苑の焼き肉、八千代鮨の中トロなどなど、思い浮かべたのはなぜだろうか。 まあ、日本に来たドイツの刑法学者も、きっと、フランクフルトに帰ってきたとき、ドイツ料理を思い浮かべるのであろうから、お互い様であろう。もっとも、エーザー教授の奥さんによれば、日本料理は世界一であるとのことである。 それでは、日本刑法学が、世界一になるのはいつの〜日〜か。
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norio

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