2002年09月09日(月) |
デイヴ・ペルザー著田栗美奈子訳『ロストボーイ』★★★☆☆ |
 『“It”(それ)と呼ばれた子―少年期ロストボーイ』 デイヴ ペルザー Dave Pelzer 田栗 美奈子 ソニーマガジンズ (2003/02)
三部作『“It”(それ)と呼ばれた子 幼年期』の少年期。
私のこの日記にどうたどりついたか、というのがわかるようになっているのだけど、一番多いのは『Itと呼ばれた子』での検索。 それだけ、児童虐待に関心を持っている人が多いのだろう。 嬉しいような、ためいきついてしまうような、複雑な気持ち。
助け出されるまでの話も苦しさ満載だった。助け出されてほんとうにほっとした。 でも、彼の戦いは終わらなかった。 現実って、そんなものだ。
様々な偏見や社会の不備、歪みが彼に苦難を与える。 「ホーム」が定まらないというのはどんなにせつないだろう。 自分の責任じゃないところでそれを責められ、蔑まれるのはどんなにくやしいだろう。 愛されたい、認められたい両親に、それをしてもらえないのはどんなにやるせないだろう。
放火犯の汚名をきせられ、里子は違う人種だと疎まれ、父にも母にも愛をもらえない。 それでも筆者はもって生まれたものなのか、強かった。
自分で道を切り開いて、感動的な最終章へ。 「本物の家族」を得て、幸せを感じるひととき。
「家族」って、一緒に住んでいるからでも血がつながっているからでもなく、愛情を持ち合える人間関係のことなのだと思う。 私は、ずっと、そういう家族がほしかった。 やっと、作れると思った。 作れたと思った。
ちょっと最近はこころが病みかけててよくない空気になっているのでなんとかしなくちゃ、と思ってる。
里親制度が、アメリカでも偏見の中にあるとは知らなかった。 日本では、もっとだ。 子どもが欲しくてできなくて、そんな人たちと、中絶大国(本当に悲しい)日本で「流される」子ども、生まれてすぐに施設に行く子ども、そんな子どもを 橋渡しする制度がもっと進むといい。 子どもは、みな愛されて育たなくてはいけない。
自身の子どもへの対処も、反省、反省。
愛情いっぱいに、どの子も、「わたしはわたしであっていい」と思えて暮らせるように。 この本を読んでも全然ぴんとこない、という世の中になるように。
『“It”(それ)と呼ばれた子―少年期ロストボーイ』
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