2002年09月10日(火) |
志茂田景樹『心療内科』★★★☆☆ |
 『心療内科』 志茂田 景樹 KIBA BOOK (1997/10)
若かりし頃、仮面鬱病と戦った著者による、心療小説。
心療小説って、読むと癒されるのか?
それはともかく、読んでみた。 こころを病んだ人たちが、メンタルクリニックに通う。その医師もからんで広がる人間模様。
私は、秘書から占い師になったトキエさんに「似てる」「近い」と思った。 思った、じゃなくて、「わかった」。 わかりたくないのに。できれば不可解な世界だわ、ですませたかったのに。 わかってしまった。
思い込みが激しく、不安が去らず、オールオアナッシング。 感情移入して、彼女には(私には)しあわせになってほしい(しあわせになりたい)、と思った。
読者はそんな風に、思えるかもしれない。 ある人は、コンピューターの中のバーチャルな恋人が心の支えの彼に。 ある人は、自分の中の神のため、幼女をめった刺しにした中学生に。 ある人は、クールなようでいて、いつのまにか闇の世界に入り込んでいた医師に。
装丁をされた平松暁さんが、装丁でも解説でも使った「休」の文字。 休むことは怠けること、悪いことととられがちな今、休んでみること、休むことの大切さに気付き、いざ休もう、というメッセージを送っている。
休むといっても、おむつも替えなきゃ、洗濯も掃除も、資源ゴミも出さなくちゃ、いつ休むのよー!!!!!と切れかけのこの頃の私。 やっぱり休まなくちゃ。 でないと病んでしまう。笑顔が出ない。(ほんとに出ない)
休もう。
あなたも、がんばりすぎないで。
『心療内科』
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