2002年09月15日(日) |
NHKアナウンサー山根基世『ことばで「私」を育てる』★★☆☆☆ |
 『ことばで「私」を育てる』 山根 基世 講談社 (1999/12)
言葉の大切さを、NHKアナウンサーとしての経験から伝えようと、いろんな角度や思い出をもとに語られた一冊。
言いたいことはわかるけど、いまいち心の琴線にふれるものはなかった。
と思ったけど、今最後をぱらぱらと読み返したら、うんうんとうなづける箇所を発見。
「文字やことばを得ることによって初めて「思考」がはじまる。」
「識字というのは、けっしてただ字を知るだけのことではなく、「世の中の認識」につながるのである。」
どっかで見たようなフレーズだと思ったら、私の大学の卒論だった。 テーマは「諸外国の識字教育」。 ほとんどあちこちの著作のつぎはぎのようなろくでもない論文もどきだったので、記憶にあるフレーズも、どこかの本にあったものだろう。
それはともかく、言葉を知り、言葉を使うことは、ただそれだけのことではない。 世界を知ること、世界と関わること、自分の存在を確かなものにすることでもあるのだ。
そうそう。 だからこそ、識字(教育)は非常に重要であること、それにも関わらず教育の場から遠ざけられている途上国のこどもたち、特に女性の存在に胸を痛めたことを思い出した。
大阪にいた時に出会った文字が書けないおばさんの存在にも打ちのめされた。 そうだ。そんなこともあった。 忘れちゃっていたよ。なんてこと。あんなにアツクなっていたのに。
難病の女の子の手術代、渡米費用の募金に関して今身近で考えさせられてる。 つらい人はいっぱいいて、自分はとても恵まれている。 それでもじたばたしたり、鬱になったりしている。
今の自分にできることを、いいと思うことを、やることだよね。 言葉のもつ力を忘れずに。
『ことばで「私」を育てる』
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