2003年02月25日(火) |
東野圭吾『変身』★★★★☆ |
 『変身』 東野 圭吾 講談社 (1994/06)
マックのマウスが死んでいる。 光学式なのに、懐かしのトラックボール(っていうんだっけ?)にゴミがつまって「あれっあれっ、動かない、あれっえいえいえい」とやりたくなるような不具合。あげくの果てにうんともすんともいかなくなり、再起動。 キーボードから一度抜くと直る時もあり、ぶちぶち抜いてる。 今は左側の差し込み口に入れて使用。 これだとOKと書きかけて確認したらまた死んでいたので右に差し込み直した。 この文章がアップできてたら、それまでは生きてたと思ってください。
余計な話で失礼しました。
このお話、めちゃめちゃ私好み。
読み終えて、もだえた。ごろんごろんしてしまった。
事件に巻き込まれ頭を銃弾で打ち抜かれた主人公成瀬純一。 脳移植手術を施され、無事?生還するものの、彼を待ち受けていたのはドナーの「恨み」の意志が己を奪おうとする苦難だった。 「殺意」を抑えきれなくなる自分、救おうとしてくれる恋人。 貴重な研究対象としてしか見ない医師。孤立する職場。 彼はどうなるのか。「治る」とは「生きる」とは。
『アルジャーノンに花束を』の、救いのないところから始まるお話。 で、最後まで読んで、救いがあったのかなかったのか。 それは読んでみてね、としか言えないのがもどかしいが、とても悲しく、すこしほっとした。 恵の強さと愛情は、「秘密」の直子を思わせるね。私もこんなに強く、人を愛せるようでいたい。 ラストは、泣ける。またしても私は泣けませんでしたが、泣ける話です。 ああ、それってそういう使い方をする小道具だったのねーいやーん、て感じ。
しかしあえて気になった点を述べるとすれば。 成瀬はめちゃめちゃいい人すぎるし、京極はめちゃめちゃ悪い奴に書き過ぎ。 どれくらい悪い奴かというと、セックスシーンが出てきても、ちっともむらむらこないくらい寒々しい印象を与えたくらい。 それから殺し屋。プロだったらちゃんと仕事をし(以下略)
かなしくて、自分も「自分をちゃんと生きよう」と思わされた一冊でした。
『変身』
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