2003年03月15日(土) |
アネッテ・カスト・ツァーン著古川まり約『愛情の次にたいせつな子育てのルール』主婦の友社★★★★☆ |
 『愛情の次にたいせつな子育てのルール―ドイツ流・子どもの心がわかる本』 アネッテ カスト・ツァーン Annette Kast‐Zahn 古川 まり 主婦の友社 (2001/10)
副題は「ドイツ流・子どもの心がわかる本」。 原題は「どんな子どもでもルールは学べる」。
ドイツでは、今の日本のちょっと先を行っていたらしい。 子どもの意志を尊重する育児方針、ものわかりのいい親になろう、友達のような親になろうとしていた80年代。 社会全体がものわかりのいい大人たちになった頃、不登校、万引き、教室徘徊など非行が問題化。 90年代に入ってから「しつけ」が見直されるようになった。
しつけとは。 訳者いわく、「親が必要と考える、共同生活や社会で生きるために必要なルールを子どもにきちんと教えること」。 押しつけの弊害を恐れるばかりで、子どもにルールをきちんと教えなかったことが問題の根本にあったという結論になったそうだ。
そういう風潮の中でベストセラーになった一冊がこれ。 読んでみて、うなづけることが多かった。 反省した。学んだ。やってみようと思った。 実は相当煮詰まっててイライラしていて、秘密の落ち着き処に逃げて、そこで一気に読んだ本。いいタイミングで、いい本に出会えた。
訳者あとがきから。 『「しつけ」や「ケジメ」とは、親の言うことをよく聞く子どもを育てることではありません。著者は、「家庭や学校といった共同生活に必要なルールを伝え、子ども自身が納得したうえでルールを守る子どもに育てる」ことを言いたいのです。』
その通り! そう思う。うまく生きる術ではなく、よく生きる術を身に付けてほしい。 自分で考え、判断し、選び、責任をとる。 それができるようになってほしい。できるように手伝うのが親の役目。
なーんて立派なことを考えてはいるものの、現実には親の言うこと聞きなさーい、時々無茶なこともあっ言ってしまった、怒鳴ってしまった、八つ当たりしてしまった、無視してしまった…だめじゃん…の繰り返し。
最近子どもが反抗心をあらわにするようになってきた。 相当育てやすい、よくもわるくもイイコなので、少しホッとしてもいるのだが、何分未熟な自分は「むっかーっ」ときてしまい、大人げない反応をしてしまう。 彼のにらみ方は、私の真似。怒鳴り方も、私の真似。当たり方も、私の真似。 彼は「学習」した通りにしてるだけなのに。
がつーんときたのは、140-141ページ。 『こうした非難は、子どもの行動に対する「正しい批判」ではありません。 子どもの人格を否定し、子どもを軽蔑することです。 これによって、子どもの心にはどんな感情が引き起こされるでしょうか。 子どもが「態度を改めよう」と思うことは、まずないでしょう。 「あなたに注目されたい」、「顧みてほしい」という欲求が強くなります。 このため、子どもが仕掛ける「親の関心をひくための戦い」を激化させることになるでしょう。』 「非難は、子どもの自尊心を打ち砕きます。 親からの非難は、ものすごく大きな破壊力になるのです。 子どもの自尊心を一瞬のうちに、粉々にしてしまいます。 どなることで、さらに破壊力はアップします。」
そう、私が怒りにまかせて無茶や理不尽なことを言った後の彼の瞳は、自尊心を傷つけられた怒りの色でいっぱいだ。 自分も通ってきた道で、通らせたくない道なのに。 虐待の連鎖ってやつでしょうか。
自尊心を砕かれるとどうなるか。よくわかってる。 なにもかも、どうでもよくなるの。自分は無価値、いない方がいいんだって思う。守らなくては。大事な子どもの自尊心、それからこれからの人生。
買おうかなぁ。いい本だと思う。 「がんばれおかあさん!」でもなく「よい母になるべしです」でもなく、「こういうコツがありますよ」だから、聞き入れやすい。実行しやすい。 秘密の気分転換癒しどころから帰る道中では、「今日のこと、謝ろう。明日いっぱいつきあってあげよう。本だっていっぱい読もう。一緒に遊ぼう」と神妙な心映えに変わってた。 帰ると、ずーっとママ、ママ、と待ってて寝ちゃった、と。
くうーっ。 こんなにかわいい子どもとの時間、ほんとうに、大事にしなくては。
『愛情の次にたいせつな子育てのルール―ドイツ流・子どもの心がわかる本』
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