| 2003年04月17日(木) |
貴志祐介『青の炎』★★★☆☆ |
 『青の炎』 貴志 祐介 角川書店 (2002/10)
最近私好みの「いたい」小説が続き、嬉しいのだけど、いたいんだなぁ…。 つられてブルーになったりして。 「手紙」を読んだ後は2日ほど口数が少なくなってしまったし。
帯がまた煽ること煽ること。 『こんなにもせつない殺人者がかつていただろうか 光と風を浴びて、17歳の少年は、海沿いの道を駆け抜ける。 愛する妹と母のためにーー。氷のように冷たい殺意を抱いて。 人間の尊厳とは何か。愛とは、正義とは、家族の絆とはーー。熱き感動を呼ぶ現代日本の『罪と罰』。日本ミステリー史上、燦然と輝く永遠の名作、ここに誕生。』
ということで、相当期待して読んだら、裏切られずに嬉しい! でもやっぱりいたた…だからなぁ。(しつこい) ただ、帯はちょっと書き過ぎでは。『燦然と輝く永遠の名作』って、ねぇ。
17歳の未熟さと成熟の加減、限界といったものを思い出させてくれた。 すごーく醒めた部分と、熱くなっていた、しまっていた部分。 ためらいと、一歩踏み出した時の達成感とも後悔ともいえない、後戻りできな責任の重圧。罪悪感。 ラストはあの選択が彼にとってはベストだったんだろうか。 んー愛する母や妹、彼女(微妙な位置だけど)を『手紙』の主人公にしちゃうわけだものなぁ。 彼なりの『愛』だったんだよね。いたすぎる、選択。
おじさんの病気や彼が酒は飲んでもタバコは吸わないとか友人に恵まれていること、知的にも優れていることなどはあえて効果を狙ったことだとわかっていても、「生きてて、まっとうな社会人として活躍してほしかったなぁ〜」なんて、将来を嘱望してしまう気持にさせられた。
刑事の追いつめ方も緊迫感があってドキドキ。 真実にせまる、認めたくない、受け止める、家族や彼女の気持にもきゅーんとなった。
『愛』って大事。
『青の炎』
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