| 2003年04月24日(木) |
宮内美沙子『看護病棟日記』★★★☆☆ |
 『看護病棟日記』 宮内 美沙子 角川書店 (1996/11)
多くの示唆に富んだ、というのはこういう本のことをいうのだろう。
医療現場の実態、看護婦の過酷な労働環境、やるせない思い。 日記の形で書かれた読みやすい文章。 あとがきに書いてあってはっとさせられたこと。 看護婦による看護婦のための本があまりにも少ないということ。
確かにそうだ。 教師と同じくらいいる看護婦。それなのに看護婦によって書かれた看護婦の現場を語った本があまりにも少ない。 読みあさっている私の実感としても、「まだまだこんなに」というより「だいたい読んじゃったなあ」だもの。
看護婦モノはそれでも多数あるが、その中でもっとも真剣に考えさせられる、看護婦の問題だけにとどまらず、もっと広く大きな視点に立たなければいけない、と感じさせられる。
心の琴線に触れた部分をちと紹介。 『子供の成長をささえ励まし、人間としての人格を尊重し、個性と可能性を引き出し、自分自身や環境とたたかって生き抜く力を育てるのが本来の教育の仕事だとすれば、看護もまた、かけがえのない人間の生存、人間の可能性に働きかける仕事である。』
できるかどうかは別として、そう努力することは必要だろう。 その意欲を持てない、あまりに過酷な環境は少しずつでも改善していかなければ、もちろん、いけない。
このゴールデンウィークにも、休まず(そう。夜勤だってあるのだ)働く看護婦さんに、感謝とエールを送ります。
『看護病棟日記』
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