| 2003年05月09日(金) |
東野圭吾『宿命』★★★☆☆ |
 『宿命』 東野 圭吾 講談社 (1993/07)
背表紙より。 「初恋の人、美佐子に別れをつげ、和倉勇作は苦労を重ねて警察官になった。その勇作の前に殺人容疑者として現れたのは、学生時代どうしても勝てなかった宿敵の瓜生晃彦だった。しかも美佐子の夫として!宿命を背負った二人の対決が極限に達したとき語られる、ただ「ひと言」の衝撃。感動の名作、ここに誕生!」
謎解きの意外性もいいけれど、別のタイプの意外性を想像したい、との著者の言葉が見返しにある。 最後の一行に一番気に入っている意外性があると。 だけど先に読んじゃダメですよ、と。
うん、絶対に読んじゃダメ。 この面白さが半減どころかほぼ全減といってよくなっちゃうので、やめといた方がいいです。
意外性のおもしろさ。 そうだね。東野圭吾さんはそこがうまいというか、おもしろいというか、好き。 読み進んでいくうちに、自分の中に構築されていく勝手な思い込み。想像。 それをひっくりかえされたり、まったく予想もしてなかった展開を見せられて、
「へっ?」
そして「えええーーーーーっ」 となるのが、読者は快感。少なくとも私は快感。 きっと作者はそれが快感なのでしょう。
このお話も意外性の連続です。 思い込みをくつがえされたり納得させられたり(あの人が犯人なんじゃないのーとか、サナエさんとの関係とか、逃げた現在有力者とか)満喫させられます。 ただ、ふたりの環境というか、生い立ちは痛ましい。 刑事ではなく警察官であることとか。 刑事がイジワルなのも、読者が彼に肩入れするような効果を狙ってるのかな。
さて、次は何読もう。
『宿命』
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