| 2003年08月17日(日) |
東野圭吾『片想い』★★★☆☆ |
 『片想い』 東野 圭吾 文藝春秋 (2004/08/04)
帯より。 「帝都大アメフト部のOBの西脇哲朗は、十年ぶりにかつての女子マネージャー日浦美月に再会し、ある『秘密』を告白される。 あの頃の未来にいるはずの自分たちは、変わってしまったのだろうか。 過ぎ去った青春の日々を裏切るまいとする仲間たちを描く傑作ミステリー。」
『「秘密」「白夜行」につづく待望の長編ミステリー』ということですが、そうですね、最初から最後まで、ずーっっとだれさせず、楽しませてもらえました。 毎度ながら、お見事です。
男であること、女であることはどういうことなのか。 性同一性障害、罪を犯した仲間に対して自分は何ができるのか、そういったことをリアルに問いかけてくる。
東野さんの小説はいつも、奇想天外でありながらひとごとでない感覚にさせてくれるのが、いい。いいけど、イタイ。そこが、いい。
夢の中で殺人犯になったことが何度かあるんだけど、ばかばかしいことを真剣に考えて焦って。そんな感覚。
この小説でいえば、美月の生理の場面。 「手紙」でいえば、妻子がいじめにある場面。 ディティールに手を抜かない、ミュシャの絵のようなこまかさ、見事さ。 それに魅入られるのでしょうね、ファンは。私は。
エンディングに向かう息もつかせぬ展開。 ぬかりのない、幕引き。 「敵」であり「仲間」の新聞記者の行動がまた、憎い。泣ける。
私にも、あんな時代と仲間がいた。 とても幸せなことだったのだ。 でも。 大切なのは、「今」だ。
『片想い』
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