母のタイムスリップ日記
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2002年05月05日(日) |
今が楽しければそれでいいね。 |
今日は私の誕生日。 お母さん、私をこの世に送り出して下さり有難うございます。 少し残念なのは、あなたが、私の誕生日はおろか、私の存在すら無くなりつつあることです。 でも、あなたと約束しましたね。あなたの記憶から私のことが抜けてしまっても 私は、あなたのことを忘れない。とても、大切な存在であるのだと。 それは、今も変わりありませんよ。 今日はとても暑い1日だった。 そんな中、娘と2人で自転車に乗り面会にでかけた。 ドアを空けると珍しく中から皆で合唱している声が聞こえた。 母の声も聞こえた。しばらくそっと聞いていた。 1曲終わったところで、皆と顔を合わせる。母も気がついたが動かず。 私と娘は、居室に入った。しばらくして、介護士さんに促されて母もきた。 どうやら、歌って居るうちに私の来たことなど忘れていたようだ。暑いので 半そでに着替えて、外出。ここは、なんという町か?と尋ねられた。 どうやら、私たちの家に母が遊びにきたと思い込んでいる様子だ。 こんな風に母の記憶は、繋がらず、断片的になっている。 母自身もそうなっている事に気がつくときがある。そんな時の母は、とても 不安そうになり自信をなくしてしまう。 病のはじめは、年をとってきたから仕方ないね。と話してあげ、違っていること は指摘してあげた。それで、母も忘れないよう努力していた。 だんだんに、忘れる事に不安を感じ始めて、気落ちしたり鬱になったりしてきた。 そのころより、いろいろの間違い忘れに気がつかない振りをしてあげるようにした。聞く時には、先に今はバスに乗ってきたね。疲れなかった?等と話をして、 それから駅に行ったけど、何に乗ってきたかなあ...等と答えやすいようにして 質問をした。関連事項を話し始めたらそうそうとと肯定してあげた。 少し自信がつくと表情もゆたかに成って行くのが見て取れた。 少なくとも1年前まで話のヒントで何とか記憶をつなげられたように思う。 今も調子のよいときはピントが合う。 緩やかにゆるやかに忘れることが多くなるな。
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