母のタイムスリップ日記
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2002年08月07日(水) この暑いのに・・・。

 

 昼食が終わるころ施設を訪ねた。

職員の人が、「いいんですか?」と尋ねた。

「はい、もう感染する事はないそうです。」と答えた。

職員の人が、母を呼んでくれた。母は、不思議そうな顔をして、

やって来た。「どうしたの?」と問うと「帰るの」と言う。

居室に入ると、そそくさと荷物をまとめ始める。

 私は、母を見ながら、部屋を整理。

この数週間の空白を今の母は感じてない様子だ。

 母の中では、毎日お天気が変わるのだろうから、今日のように

すごしていた訳では在るまい。

 部屋の隅に、クロバーとウツギの花がコップに挿してあった。

腕を見ると、日焼けしていた。散歩に出たのだとわかった。

 あれもこれも、と母は、袋の中に詰め込む作業を続けた。

押入れの中に、使ったトレパンが入っていた。娘が、「なんか臭うの」

と言っていたのが、此れだったかな?と思った。

娘は、探しきれなかったのだろう。

 パジャマの上がなかったり、タオルがなかったりいろいろ消えて

いるものがあり、また、母の物でない物が紛れ込んで居たりした。

 それらも、職員の人に渡す。

母をトイレに誘う。ぱっと見は、半袖Tシャツで夏の姿だったので、

気にもしなかった。でも、トイレで下着を下げたら、長下ズボン。

トレパン汚れた物を2枚重ねで着用。やれやれ、と上も脱いでもらう。

すかし編みのカーデガンの下に半Tシャツ。その下に長袖シャツ。

その下に、半袖シャツ。うーん。納豆になってしまう。

 見極めるのは、大変かもしれないけど、どうなのだろう?

全部着替えた。体もタオルで拭いた。洗髪してあげたかったが、

つれて出る元気がないので、ブラッシングで勘弁してもらう。

 昨日は、施設は、夏祭りだったらしい。

浴衣を着たと職員の人はいった。

 今日は、皆で、フルーツポンチを作る。と言う。

母を外に連れ出す元気がなく、そちらに参加してもらう。

その間、居室とホールに掃除機をかける。

 そして、あのYさんと対面。

前もって、職員の人が面会を予告していたらしい。

誰かなと待っていた。私の顔をみて、あっと声を挙げ、目には涙。

しばし、2人抱き合った。「よく、ここがわかったね。」と彼女は

言った。それから、ひとしきり此れまでの事を話してくれた。

 正しい所、そうでない所あるが、概ね合っていたのでほっとした。

急激な進行は、なかったみたいだ。でも、私の名前がわからない。

それでも、ふいに、娘の名前を口にした。関連は、解っていたのだ。

職員の人が、冷たい飲み物を出してくれた。

 その後、母の居室に行く。「あー」とお互いに言ったので、解る

のかなと思ったら、昨日の夏祭りで顔を合わせていたのだった。

今まで、我が家、彼女の家と何回か出会っているが、記憶には、

残ってなかった。

暫く遊び、話して、Yさんを部屋に送る。Yさんは、よくお話をして

くれるOさんと同室だった。

世話好きのOさんだし、母よりはまだまだわかるYさんなので大丈夫。

と勝手に思った。

そう、Yさんは、「ここで、残りの人生を送る」と言った。

 それ位、今は、判断できるのだ。よかった。

母の帰りたい願望は、最期まであったが、「暑いから、涼しくなって

からにしよう。」の声がけに納得し、編み物をはじめたので、帰宅。



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