母のタイムスリップ日記
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2002年11月29日(金) 出身地の事まで。

今日、少し遅くなってから、母の所に出向いた。
ここ数年の写真を手土産にした。
暫く見ていないので興味を持って見るに違いないと思った。

施設内は、職員との和やかなムードだった。
軽く挨拶をして入って行くと気配で母も振り向いた。
数冊のアルバムを渡した。此方での生活の写真だ。
あちらこちらに外出した時 特にさくらの花が咲いている時期の物が多かった。
地元の物、少し離れたさくらの名所等様々だ。
広げていたら、「この人に似てる」とFさんが母を指した。
「まあ、女優さんみたいにたくさんの写真だね」とFさん。
「エーッ。ずいぶん汚い女優さんだね」と私。
「そりゃ、女優さんにもいろいろあるよ。」とFさん。「んー。そうだ。そいう事だね」と私。後は、皆で大笑いとなった。

次々にみんなが母のアルバムを眺めだした。
見慣れた景色もあるのだろう。みんな、それぞれの思いで見入っていた。
景色の地名を言ってあげると、「あそうそう」とみな頷いた。
「じゃ、ここはどこかな?」と逆に尋ねると言葉に出てこなかった。
母は、頷きながらみていた。
地名などはわからない。だから、会話には着いていけない。
それでも、母は母で充分満足げだった。

久しぶりに生まれた地や育った所の話を皆に尋ねてみた。
細かい地名まで私が口にすると、「よく知っているね。そうなんだよ」とI氏は驚いていた。
「私もその近くに住んでいた事があるから」というと「へえー」と嬉しそうだった。
Iさんも話しにのって来た。どうやら近辺に住んでいたらしい。
それぞれ、住んでいたのはずれているのが判ったが、ここでは問題にならない。
話は其の地域の事で弾んだ。
O氏にも、出身地を尋ねた。県までは聞き取れたが後が明瞭でなかった。
紙と鉛筆を渡して書いてもらった。すると、故郷に近い方だった。
言語は不明瞭だけど、書いてもらえばよく判った。

ついでに、仕事を聞いたら、はっきり言えなかった。
でも、F氏の事は知っているので、「腕の良い××だったのよね」と声を掛けるとニコニコしていた。
入所者の事は、知らない事が多く 話のきっかけもそう多くは無い。
でも、母のアルバムを使って共通の話題ができた。
人のアルバムでも、充分通用するものだと不思議だった。

夫の写真や次男の写真もあった。
母に「誰?」と聞くと、「あなたのご主人と次男」と間違うことなく答えた。
「わたしは?」と聞きたい衝動に駆られたが、やめた。水を挿す事も無いのだ。
充分に回想できたのだろうと思った。








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