母のタイムスリップ日記
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今日、少し遅くなってから、母の所に出向いた。 ここ数年の写真を手土産にした。 暫く見ていないので興味を持って見るに違いないと思った。
施設内は、職員との和やかなムードだった。 軽く挨拶をして入って行くと気配で母も振り向いた。 数冊のアルバムを渡した。此方での生活の写真だ。 あちらこちらに外出した時 特にさくらの花が咲いている時期の物が多かった。 地元の物、少し離れたさくらの名所等様々だ。 広げていたら、「この人に似てる」とFさんが母を指した。 「まあ、女優さんみたいにたくさんの写真だね」とFさん。 「エーッ。ずいぶん汚い女優さんだね」と私。 「そりゃ、女優さんにもいろいろあるよ。」とFさん。「んー。そうだ。そいう事だね」と私。後は、皆で大笑いとなった。
次々にみんなが母のアルバムを眺めだした。 見慣れた景色もあるのだろう。みんな、それぞれの思いで見入っていた。 景色の地名を言ってあげると、「あそうそう」とみな頷いた。 「じゃ、ここはどこかな?」と逆に尋ねると言葉に出てこなかった。 母は、頷きながらみていた。 地名などはわからない。だから、会話には着いていけない。 それでも、母は母で充分満足げだった。
久しぶりに生まれた地や育った所の話を皆に尋ねてみた。 細かい地名まで私が口にすると、「よく知っているね。そうなんだよ」とI氏は驚いていた。 「私もその近くに住んでいた事があるから」というと「へえー」と嬉しそうだった。 Iさんも話しにのって来た。どうやら近辺に住んでいたらしい。 それぞれ、住んでいたのはずれているのが判ったが、ここでは問題にならない。 話は其の地域の事で弾んだ。 O氏にも、出身地を尋ねた。県までは聞き取れたが後が明瞭でなかった。 紙と鉛筆を渡して書いてもらった。すると、故郷に近い方だった。 言語は不明瞭だけど、書いてもらえばよく判った。
ついでに、仕事を聞いたら、はっきり言えなかった。 でも、F氏の事は知っているので、「腕の良い××だったのよね」と声を掛けるとニコニコしていた。 入所者の事は、知らない事が多く 話のきっかけもそう多くは無い。 でも、母のアルバムを使って共通の話題ができた。 人のアルバムでも、充分通用するものだと不思議だった。
夫の写真や次男の写真もあった。 母に「誰?」と聞くと、「あなたのご主人と次男」と間違うことなく答えた。 「わたしは?」と聞きたい衝動に駆られたが、やめた。水を挿す事も無いのだ。 充分に回想できたのだろうと思った。
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