母のタイムスリップ日記
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2003年03月11日(火) 夫、娘、私それぞれの思い


 夫は、母の変化をとても痛ましく捉えている。
そして、息子達もこの状況を自分の行く先としてきちんと見ておくべきだし、親に対しての声がけをしておくべきと考えているようだ。
弟達が 介護に関わっていない事に腹を立てる事もあったが 今の母を見て腹を立てるより「見ておきなさいよ」という思いに変化しているようだ。
どうも、日曜に電話をしたようだ。
母の状態を伝えるのでなく「見ておいたほうが良いのではないか?」と言ったらしい。それでも、まだ、私のところには電話は来ていないのだが。
 娘は、母の変化を冷静に捉えてはいる。
でも、一方で私の体を気遣い始めているようだ。
「携帯を持って欲しい」と言われている。
万が一に備えての事なのだろう。私の体調の変化を心配しているのだろう。
ダメージの少ないようにと思っていてくれているのが少しだけわかる。
 私はといえば。
相変わらず、弟達に連絡するつもりは無い。
それぞれの立場で考えればいいのだ。私は、私の思いで母を見ていくだけの事である。様子を知りたければ、電話一つで直ぐに聞けるのだから自分で聞いてくればいい。GHの所在だってきちんと知らせたのだから自分で問い合わせすればいいのである。「知るも自由。知らないも自由。」


でも、母の立場から見れば、会いたいかな?例え息子とわからなくとも何処かでわかる筈だから会えばきっと嬉しいだろうな。

そこまで判っていても、わざわざ弟に伝える役目は負いたくないのだ。
そこに行くと、夫は優しいと思う。
怒る事はダイナミックではあるが、思いやりは私より有るのだろうな。
私は、これから先、夫や娘にまた不自由さを味合わせる事を危惧し始めている。

今日の母は、目を開く事が多かった。
母は、声がけしないと目を開かない。声がけしても目を開かない時もある。
今日は「開いて」と言わなくとも開いた時が有った。
其れは、Fさんの来訪した時の事。
Fさんは、遠慮がちに戸をあけてまた直ぐ閉じようとした。
「どうぞお入りください。お花が綺麗に咲いてますから見て言ってください」というと「はい。こんにちわ」と入室してきた。
花を見てから「ね、目をつむっちゃってね」と母を見た。
「Fさんが心配していらっしゃいますよ」と母に言うと母はそっと目を開けた。それから、Fさんの顔をみて「Fさんありがと」と言った。
母の目に涙が光っていた。
その後もFさんが、外の景色の話をしたりする度に母は視線を外に向けたりまたFさんを見たりと意思を持って目を開けていた。
僅かな時間ではあるけれど母が心を開き始めたと感じた。
人の温かみは、痴呆者だからこそ敏感に感じ取れるのだろうか。
これは、在宅でしかも呼び寄せられた空間の家では味わう事の出来ない場面だろうと思う。
無理やり開かせなくともそっと寄り添っていけば心開くのかな?

 


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