母のタイムスリップ日記
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2003年08月19日(火) お母さん ご・め・ん


 母の所に行くと一人居室で塗り絵をしていた。
「おかちゃん」と声を出して目には涙が光っていた。
塗り絵は、職員が母に準備してくれたものだった。
机の上を見ると仕上がった塗り絵があり、「今日は、日曜。学校お休み。お休み。休みたい」と数枚の塗り絵に書き込みしてあった。母の傍に濡れたメモ紙があった。
ティッシュボックスは、机の上にあるのだけれど探せないのだろう。
込み上げて来る物を抑えながら「外に行こう」と声をかけてみた。
「行かない」と母は言った。
「そうだよね。私となんか行きたくないね」と呟いた。

気を取り直し、来る前にお店に寄って買って来た物を取り出した。
サポーターである。
サイズはワンサイズ上のものにした。
靴下を脱がせて着装すると「気持ちいい」と母は言った。その言葉にほっとした。
「お散歩行こうか?」と誘うと今度はOKだった。
二人で外に出た。
空を見上げた母は「雨が降りそうだね」と言った。
「ほら」と傘を見せると母は、笑った。
途中、ゴールデンリトリバーをつれた知り合いに会った。すると、母も一緒に軽く会釈していた。
でもなぁ。最近の母は、通りすがりの人誰にでも会釈するのだ。
ま、いいか。知らん振りよりずっといいかぁ。

いつもの野菜スタンドを覘くと栗が出ていた。
「へえ。もう栗なんだな」と思ったら 母も「おいしそうな栗」と言った。
「買おうか?」というと「要らない。見ているだけでおいしい」と言った。
まったく遠慮深い母である。

施設に戻って、サポーターを外してみた。
それほど足は 凸凹してなかった。効き目は悪いのかも知れない。
でも、はじめからきついものの装着は避けたかった。
様子を見ながら、進めていこうと思った。

お店を覘いた時、実にさまざまの種類のサポーターがある事を知った。
効果を高めるためには、やはり その人にあったものを選んだほうがベストだろうと思った。そのためには、整形外科での診察だろうと思う。

帰る前に、責任者の方から「地区の盆踊り」と「敬老の日」のお誘いを受けた。
「うーーーん」
盆踊りの日は、母のリハが予約されており、夜はライブが予定されている。
夏の2大イベントの残るひとつである。
これだけは、外したくない。
多少の迷いはあるが、今度は泊りがけではない。
これだけは、許してもらおうと思っている。
ほんとに「ご・め・ん」である。


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