母のタイムスリップ日記
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2003年08月31日(日) 8月最後の日

 娘は未だ九州。夫は仕事。
比較的のんびりとした朝だった。
いや、何時だって同じなのかもしれない。
でも、母の所に行かない日。活動の無い日。家族の事も考えないでいい日。
こういう日は、やっぱり なんとなく のんびりする。

コーヒーを淹れながら久しく川辺りを歩いてないなあと思った。
動いてはいるのだけれど、運動になっていないような気がする。
今日は、8月最後の日であり また 涼しくもあり ギラギラした太陽も無い。絶好のお散歩日和である。

銀行までの用を思い出して、歩いてみようと思った。
隣町にある銀行である。

家を出て、中規模河川敷きに入る。
草むらからは、虫の音が聞こえ川向こうの里村からはせみ時雨が聞こえる。
夏と秋が混在した季節へと動き始めているのだなあ。

水辺からは、カワセミやセキレイの声が聞こえる。
夏はじめに耳にした「カジカ蛙」の声は聞けない。
でも、新聞によれば今年は、近くにカジカ蛙が戻ってきているとあったなあ。
里山の方からは、よしきりやコジュケイの声も聞こえてくる。
川の浅瀬で、小魚をついばむ小サギがいる。

道端には、エノコロ草、オシヒバ、セイバンモロコシ等が目に付く。
更に進めば、ツルボが群れを成して花を咲かせている。オオタデ、オオイヌタデもグンと背丈を高くしている。

季節が更に進めば、彼岸花が咲き出すであろう。

こんな景色の中に身を置くのは 久しぶりである。
大きな川と交わる所まで来ると、草が鬱蒼と茂っていた。
いつもなら、草を刈り込む筈だけど…。どうしたのかな?
母と散歩していた頃は、草の刈られた道を木陰で休みながら歩けたのに…
今日は、どうにも下までは降りられそうに無かった。
こちらの河辺りでは、釣り人達が糸を垂れている。

ついこの間まで、母の言動に耐え切れずに、雨、風、照る日、全く関係なく意地を張るようにここを毎日散歩した。
「歩きたくない」と言われても「お母さんのために歩いているのよ」と恩を着せる言い方をしていたな…。
表向きは「母のため」だけれど、ほんとの処母の言動から逃げたかったのだ。私も辛かったけれど、母だって辛かったのだろうと思う。
「娘だからね。何を言い合っても後腐れが無いからいいよ」と母はよく言っていた。
娘だから我慢してくれた。その事を思うと目頭が熱くなってしまう。

今 目の前にある草花がイライラとした思いを吸収して言ってくれたのだ。
草花の名前を一つ一つ思い出しながら歩いた。しりとりもした。歌うときだってあった。
辛いと思っていた事を忘れさせてくれる散歩だった。
母にも私にも気分を変える良い場所だった。

いつも心の中で感じた事に距離を持つように意識してきた。
だから、涙もろい方ではなかった。

でも、最近の私ときたらちょっとした事でツーンとしてしまう。

駅の近くまで来て電車で行こうかなという誘惑に駆られた。
でも、その思いにブレーキをかけて駅への道を素通りした。
河向こうの岸には、川鵜が群れをなして羽を休めていた。

河川敷の公園では、小さな子がサッカーの練習に励んでいた。親達がその周りを囲んで様子を眺めている。
今日が、8月最後の日。夏休み最後の日である。

いよいよ、隣町の域に入ってくる。
そこで、また 河川敷きの様子は様変わりしてきた。
更に鬱蒼とした景色となる。
草丈は、背丈を越える。
その草むらの中にホームレスの人たちのテントが点在している。
暑さを凌ぐには 良いのかも知れない。
でも、虫も多いだろうに…。
母と散歩していた頃は、自分の住む町の方がテントは多かった。
きっと、川の流れが変わってしまったので、こちらに移動してきたのであろう。

ここで、土手を降りて路地に入り込んだ。
この辺りだって母と良く歩いた場所である。
今度は、歩いた事の無い道を選ぶように進む。
方向は判っている。メインの道のどの辺に出るかと想像しながら歩いた。
家の中から子供の声が聞こえる。犬の苦しそうな鳴き声が聞こえる。
料理している匂い。お菓子を焼いている匂い。
生活を感じるかおりとの出会いは路地だから味わえるものであろう。

そんなこんなで、ようやく目的の銀行に辿りついた。

帰路も歩こうかなと思ったけれど、お日様が顔を出したので電車に乗った。

家に戻ると2時間以上が過ぎていた。
今日が美容院に行くチャンスと思ったけれど、しなければならない事が山のようにあった。「また、そのうちに…」と言い聞かせて冷めたコーヒーを口に含んだ。

お便りを書く。そして、小さな庭木の刈り込み…。
日が傾き、雷の音が聞こえてくる頃家に入り夕食の準備。

娘にメールを入れたら、まだ福岡の空港だった。
きっと、お土産話で持ちきりになるだろう。
だから、今日は、早めに日記を書き上げた。

8月最後の日も後少し。




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